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サラヤ、ベトナムで「手洗い普及活動」 課題解決とビジネス両立

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 新型コロナウイルスの封じ込めに成功しているベトナム。成功の要因は徹底した隔離や検査といわれるが、コロナ禍をきっかけにした衛生意識の向上も見逃せない。そうした意識向上に一役買っているのが、衛生関連事業を手掛けるサラヤ(大阪市)の現地法人、サラヤ・グリーンテックだ。イオン現地法人とともに子供向け「手洗い普及活動」を展開、手洗いを習慣化させようとしている。本業を軸にした社会貢献を事業拡大につなげる戦略だ。

 手を洗わずにおやつを食べようとした子供に「ウイルス」がそっと近づくと、子供たちのそばに人気映画のヒーローがやってきて、せっけんを使った手洗いのお手本を見せて「ウイルス」を退治する。観客席から見ていた子供たちは「いいぞ。ウイルスをやっつけろ!」と叫ぶ――。

 イオン現地法人が幼稚園や小学校で実施している子供向け「手洗い普及活動」での寸劇の一幕だ。イベントの第1回目は昨年9月25日、ベトナム北部のハイフォン市にある幼稚園で開催され、1歳から6歳までの約500名が参加。11月2日から11月11日にも、同市内19の幼稚園・小学校で実施、延べ9,400人の子どもたちが参加した。

 キャラクターを使った寸劇を行うことを考えたのは、サラヤ・グリーンテックの若手社員。自らキャラクターに扮(ふん)し、見ている子供たちにわかりやすく手洗いの重要性や方法を説明した。

 「日本に比べて、ベトナムでの手洗い普及率はまだまだ低いのが現状ですが、新型コロナウイルスの流行により、手洗いに対する意識は大きく変化しています。特に小さい子供たちには正しい手洗いの知識を理解してほしい」とサラヤ・グリーンテックのズオン・リン・チャン(Duong Linh Trang)CEOは話す。

 「手洗い普及活動」はイオン現地法人が展開する5か年計画「若い世代のための持続可能な教育推進プロジェクト」の一環。テーマは1年ごとに変わり、第1フェーズ(2020~2021年度)のテーマが手洗いだった。サラヤ・グリーンテックは寸劇で楽しく手洗いを教えるだけでなく、ハンドソープや手を洗う設備も提供する。

 サラヤ・グリーンテックはベトナムの「イオン」の衛生管理のほか、現地の消費者向けに液体せっけんなど衛生用品を販売している。2013年の設立当初から同国のSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた活動を展開しており、このプロジェクトもそれに連なる。

 サラヤはSDGs、CSV(共通の価値創造)という言葉が一般化する前から、本業を通じて社会課題を解決し、社会貢献と自社のビジネス拡大をはかる戦略をとってきた。そうした戦略が実を結び、ベトナムでも事業を拡大させている。2020年の売上高は前年比45%増となった。

 ベトナムは徹底した隔離と検査で新型コロナの感染封じ込めに成功したといわれるが、こうした民間企業による活動も後押しているだろう。「手洗い普及活動」の寸劇のなかでは、ベトナムで大ヒットした、新型コロナ対策を啓発するダンス曲で、キャラクターと子どもたちが一緒になって踊るコーナーも用意した。

 「今後は環境についての教育を実施していく予定です。例えばプラスチックごみ問題はベトナムでも大きな社会問題となっており、子どもたちへの啓発としてプロジェクトを進めていく予定です」とチャンCEO。

 ベトナムの2020年のSDGsの達成率は世界49位。毎年順位を上げており、東南アジアではタイに次ぐ順位だ。政府の取り組みだけでなく、民間企業主導のこうした地道な取り組みが続けば、ベトナムのランキング向上にも寄与しそうだ。

(町田猛)

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