地方創生 〜アフターコロナの新しい形〜

地方創生フォーラム(上) 地方創生へ人材育成 住みやすさを発信

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● セッション2  グリーンインフラと地方創生

・基調講演 地方創生とグリーンインフラ+(PLUS)
清水建設 土木技術本部 設計部 グリーンインフラグループ長 橋本  純 氏

地域と連携、課題を解決

 グリーンインフラとは、自然の持つ多様な機能を賢く活用することで、様々な社会課題を解決し、持続可能なまち・地域の実現を目指すという考え方だ。

 グリーンインフラ+とは、そこに清水建設が、これまで培ってきた、地域固有の自然生態系を尊重し、自然環境や生物多様性を保全・回復する技術・ノウハウをプラスする。つまり、自然生態系の保全・回復を強化しつつ、豊かな自然の恵みを地域に還元するという事業コンセプトだ。

 この考え方は、SDGs(持続可能な開発目標)達成やESG(環境・社会・企業統治)経営とも親和性が高い。こうした課題に取り組まない企業は、投資の対象から外されることになる。しかし現実には、企業としてこれまでの事業の進め方を見直し、気候変動などの環境課題に取り組むことは大変難しい。

 実際の取り組みを紹介しよう。山間部、農村部では農林業を通じた里山・農地の保全・再生や、生態系に配慮したインフラの整備を行う。これによって、持続可能な農林業、安定した食料供給、風力や地熱など地域特有の資源を活用した再生可能エネルギーによる電力が供給できる。

 都市近郊では、多自然型の公共空間を整備し、水と緑豊かな住環境をつくり出す。これにより、環境教育、自然の力を使った雨水の循環、地域の植物を使った緑の整備を実現する。

 さらに都市部では、限られたスペースをどう活用するかがカギになる。単一の敷地だけではなく、近隣施設や周辺環境との関係を考えながらつなげていくことが必要だ。

 では、グリーンインフラ+をどう地方創生に生かすのか。カギを握るのは、土地や自然環境、その土地が持つ天然資源の活用だ。

 まず、その土地、その場所が持っている地域環境の潜在能力を見極める。そして、設計者や事業者が手をつけていいところ、いけないところを正しく認識する。最後に、人が半分をつくり、残りの半分は自然につくってもらう。必ずしも人間がつくりすぎず、自然に委ねながらつくっていくことが重要になる。

 現在、日本を含め世界各国で様々な社会課題解決が求められている。そうした課題に立ち向かうことがSDGsであり、それを支えるのはパートナーシップだ。

 その場所にとって何が最も良い開発なのか、何を守らなければいけないのか……。地域住民をはじめ、自治体、事業者など様々な人たちとパートナーシップを組みながら、そうしたことを整理、議論しつつ考えることで、より良い解決ができるのではないかと考えている。

 清水建設では、グリーンインフラ+という事業コンセプトに基づき、これからも柔軟な連携で、持続可能な社会づくりに貢献していきたい。

● セッション3 動画で実現する地方創生

・基調講演 結果が伴う自治体PR動画の作り方
ビデオマッチング 代表取締役CEO  満居  優 氏

まちを外から見つめ直す

 この10年、地方自治体がPR動画を制作するケースが非常に増えている。しかし、再生回数が伸びない、作っただけで終わってしまっている、ユーチューブにアップしたまま効果があったのかどうかわからない、というケースを良く聞く。中には、見られてはいるものの、人が来ない、移住・定住につながっていないという例もある。

 なぜこうしたことが起こるか。動画制作以前に、さらに言うとPR施策を打つ前に、やるべきことがあり、それができていないからということになる。それは、自己認識とゴール設定だ。

 行政、地方自治体が、それぞれが自分たちのことを見つめ直す、知る。その上で、誰に何をさせたいのかを設定する。それがないからこそ、ゴール設定も曖昧になって、そもそも誰に何をさせたいのかという欲求も薄まってしまう。大半の事例で、こうしたことを考えないまま動画を制作し、まちをPRしている。これでは、結果が伴わないのは当たり前だ。

 ではどうやって、自己認識とゴール設定をするのか。例えば、観光資源を訴求するPR動画を良く目にするが、美しい景観やおいしい郷土料理は、実は日本全国どこのまちにもあるものだ。そこを強調しすぎると、他のまちと魅力の差別化ができにくくなってしまう。

 そうした際にカギになるのが、人的資源だ。特定の地域を良く見せるためには、内部の視点だけでなく、外側から見た視点を合わせることが重要だ。

 それは、どんな人たちか。まちおこし団体やNPO法人のメンバー、地元の大学でボランティア活動をする大学生、地元大学の教職員、最近ではUターンやIターンで都市部から地元に戻ってくる人も多い。外からの移住者もいるだろう。

 地域に根差した、内側から見た魅力と外からの視点で見た魅力には、重なる部分があるはずだ。その部分が、自治体あるいは当該の地域が、外部に訴求していくべきポイントになる。そこをターゲットに、行政と先ほど例に挙げたようなキーパーソンたちがタッグを組んで戦略を練る。

 対象は、外部の人だけとは限らない。定住・移住者を増やす目的なら、中にいる人の満足度を高めたほうがいいこともある。自分たちが住む地域にはこんな魅力があると訴えるよりも、現在住んでいる住民の満足度を高め、それを訴求することで地域のブランドを上げていく、認知を高めていくという考え方もある。

 動画を作れば、それで地方創生が実現するわけではない。動画制作には、適切な自己認識とゴール設定が不可欠だ。弊社ではそうした視点で、動画制作やオンラインセミナー、ウェビナー、イベントを配信している。興味のある方は、ご連絡いただきたい。

日経地方創生フォーラム
主催:日本経済新聞社
後援:内閣府
協賛:清水建設、SBIホールディングス、NECキャピタルソリューション、日本HP、三菱地所、大正大学

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