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緊急宣言拡大 外食6割減・娯楽3割減でマイナス成長へ 大和総研・神田慶司シニアエコノミストに聞く

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 神田氏は「今回も対面、移動を伴うサービスは減少するが前回ほどではないだろう」と予想する。「旅行、宿泊」は昨春と同じように抑えられるものの、「外食」は約6割減、「鉄道・航空旅客」「バス・タクシー」「冠婚葬祭」で約5割減、「娯楽」は約3割減程度に収まると予想する。ビジネス目的や娯楽関連の移動も限定的とみている。神田氏は「個人消費に限れば前回の6分の1程度の落ち込み」と話す。

高まる景気中折れ・雇用調整リスク

 ただ、ここへ来て緊急事態宣言の対象地域は拡大する流れにある。大和総研は、昨年末に予想した21年の実質GDP成長率「2.3%」を「2.0%」に、さらに今回「1.8%」へと下方修正した。2月7日の解除時期も延長の可能性が捨てきれない。21年の実質GDP成長率を神田氏は「対象地域が拡大され、かつ2カ月に延長されれば1.1%まで成長率は低下するとみられる」と話す。景気が中折れし「二番底」に向かうシナリオが現実味を帯びてくる。

 雇用調整リスクも高まっている。2020年10~12月期の雇用保蔵者数(=実際の雇用者数と経済成長率の現状に見合った最適な雇用者数の差)は472万人と、リーマン・ショック時(2008年1~3月期)の372万人を上回っている。労働分配率(=名目雇用者数を名目GDPで割って算出)も52.0%と、リーマン時の52.8%と同程度の厳しい水準で推移する。神田氏は「企業の人件費負担が比較的重い中で景気が失速すれば、失業率の解雇・雇い止めなどのリスクが大幅に高まる」と警鐘を鳴らす。

感染爆発2回あれば2年連続マイナス成長も

 政府の支援策について神田氏は「緊急事態宣言の協力金対象を事業者から店舗単位に切り替えるなど、政府が蓄積した知見を生かすケースも目立ってきている」と評価する。18日召集の通常国会は20年度第3次補正予算や新型コロナ対策の特別措置法改正に注目が集まる。一方で持続金給付や家賃補助の継続など、再検討が求められそうな施策も少なくない。

 「表面に表れるデータだけでなく、個々の現状を把握したキメ細かい支援策が必要だ」と神田氏。旅行・宿泊業界は昨年の売上減少による危機的状況から、まだ回復できていないところへの再発令で、調査上のマイナス値以上にダメージを受ける可能性がある。娯楽施設の営業時間短縮は要請でなく、給付金を必要としない「働きかけ」ベースだが、何らかの形で支援した方が望ましいケースも出てきそうだ。

 大和総研は昨年末、「21年のリスクシナリオ」にも言及した。日米欧で2度の感染爆発が発生し、各国は厳しい経済活動の制限、自粛要請を実施する。ロックダウンや緊急事態宣言の解除後で直ちに経済の活動水準が戻るのではなく、2カ月かけて段階的に回復するとの想定だ。この場合は、日本の実質GDP成長率はマイナス0.4%と2年連続のマイナス成長となるという。

 すでに1回目を現在進行形で経験している状況にあり、年内2回目の感染流行は何としても避けたいところ。「やはり第1に必要なのは感染の急拡大を着実に抑え込むこと。海外の事例や専門家の知見を踏まえつつ、メリハリをきかせてピンポイントで実施する。その上で、皆が安心して利用できる需要喚起策を模索すべきだろう」と神田氏は指摘している。

(松本治人)

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