楽しい職場学

オンラインで会話盛り上げるMC力と傾聴力 西武文理大学サービス経営学部専任講師 瀬沼文彰

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「この話は通じるか?」一旦考えてから話す

 学校現場でいじめ・いじり対策でしばしば論じられていることだが、「話し始める前に、言っていいかどうか考えること」は、他者を傷つけないために個人ができる重要なコミュニケーションのテクニックだと言われている。筆者の研究する笑いやユーモアでも場合によっては人を傷つけたり、攻撃したりしてしまうことがある。そのため、同様に、「この発言(ウケ狙い)を言っていいかどうか一旦考えてから発する」は重要なことである。

 こうした発言の方法は、オンラインのコミュニケーションでも同じなのではないだろうか。その際、気を付けたいのは、「この話皆に通じるのかどうか」である。対面の飲み会であれば、自分が話したいことだけ発したり、相手の言ったことに脊髄反射的に反応したりしていれば、誰かが話を流してくれたり、自分の周りの人だけでその話をすれば問題はなかった。しかし、オンラインでかつ複数名が参加している場合は、どんな話であっても参加者全員で聴かなければならない。そのため、「その場の親しい人にだけ通じる身内話になっていないか」のように一瞬、考えてから発するという心遣いをすることが、参加者全体の楽しさにつながってくる。

 同様に、長い話を避けることも重要だ。この話長くなりそうだなと一瞬考えられるかどうか――長くなりそうならどうやって短く的確に話すかを発する前に考える。まとまらないなら言わないことも選択として考える。特に、上司のように長く話をしてもいい権利を持っている人は、できる限り、オンラインでは、その権利を放棄して部下たちの話を聞く場と割り切ってみてはどうだろう。むしろ、皆が話しやすいテーマを質問する、それを言いやすい環境を作る方に回って参加するなどがおすすめだ。

 たとえ、飲み会であっても、このような点を個人が考えてみることで全体がうまく回り、組織内の目的である一体感の獲得や楽しい職場づくりにつながってくる。盛り上げるとは、個人の特別な能力によってつくられることもあるかもしれないが、どちらかと言えば、その場に参加した各自のちょっとした努力と気遣いの成果でもあることは忘れてはならない。

瀬沼文彰(せぬま・ふみあき) 西武文理大学サービス経営学部 専任講師
日本笑い学会理事、追手門学院大学 笑学研究所客員研究員。1999年から2002年まで、吉本興業にて漫才師としてタレント活動。専門分野は、コミュニケーション学、社会学。研究テーマは、笑い・ユーモア、キャラクター、若者のコミュニケーション。単著に、『キャラ論』(2007、スタジオセロ)、『笑いの教科書』(2008、春日出版)、『ユーモア力の時代』(2018、日本地域社会研究所)など。

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