楽しい職場学

オンラインで会話盛り上げるMC力と傾聴力 西武文理大学サービス経営学部専任講師 瀬沼文彰

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 2度目の緊急事態宣言の発令に伴い、企業の出勤者7割削減が要請された。そのため、再びオンライン会議システムを用いる機会が増えたのではないだろうか。それらのツールは、仕事ではもちろん、組織の飲み会などでも利用されている。しかし、オンライン飲み会は、「盛り上がらない」としばしば聴く。今回は、オンラインを通じたコミュニケーションのなかでも特に、飲み会をどのように盛り上げていくのかがテーマである。本稿での盛り上げ方については飲み会を想定したが、場合によっては、会議やミーティングなどでも応用は可能だろう。仕事では、もちろん、盛り上がるまでの必要性はないのかもしれないが、オンラインの会議、ミーティング、打ち合わせ、プレゼンなどで、明るく楽しい雰囲気作りの参考にしてもらえるような提案や気をつけるべきことを以下で論じてみたい。

リアクションや表情・手ぶりは大げさに

 まずは、様々な媒体で語られていることの整理から始めよう。オンラインのコミュニケーションでは、飲み会でも会議でもできる限りよいネット・マイクの環境であることが第一の条件である。次に、リアクションや表情・手ぶり・うなずき、相づちは大げさにすることが鉄則である。もう一点、対面のいつもの飲み会だと思って参加をしてはいけないということを筆者から付け加えたい。久しぶりの飲み会だと期待値を上げすぎるのではなく、別物だという気持ちくらいがちょうどいいだろう。

 オンライン飲み会のコミュニケーションの最も大きな問題は、複数名が話を同時にしにくく、皆で1つのテーマを話すことが求められてしまうことだ。対面であれば、おのおのが2-3人単位で自分の席の周りの人たちと話すことができるものの、オンラインではそれは難しい。そのため、自分が話すことのできるターン数は対面に比べかなり減ってしまう。

 そこで重要な考え方は、自分が話をするために参加するのではなく、周りの人たちの話を聴きに行く、それを楽しもうとすることである。なお、自分が楽しく話を聴くために用意したトピックや質問を皆に振ってみることもおすすめしたい。

 特に、上司や飲みの場で主導権を握ることが多いような人は、話していない人がいないかを絶えずチェックすること、話を振ってみることも忘れてはならない。お笑い芸人のバラエティー番組ほどの「場回し」は不要だが、オンライン時代に「その場を回せる能力」や「MC力」は重宝されること間違いないだろう。ちなみに、対面の飲み会に戻れた際に、話の聴き方のスキルや場を回すスキルは、話すことが重視され、それを楽しいとする人が多い現代の日本社会ではかなり役立つようにも思える。

「オンラインでは相手が怒っているように見え不安」

 「オンライン会議をしていると、相手の機嫌が悪いのかと思ってしまう」「相手が怒っているように見えるので不安だ」などの声をしばしば耳にする。オンライン会議を導入してからかれこれ1年になるため、私たちは、オンライン会議のシステムにもだいぶ慣れてきた。前々回の連載(「オンライン会議 キャラ立てて距離縮めよう」)で問題として扱ったコミュニケーションのコスパを重視してしまうせいか、オンライン会議では、淡々と要件だけを話してしまう人が多い。淡々と話をすれば誰でも無表情になることは必然だ。

 私たちは、日常生活でもそうだが、ことばの情報だけではなく、相手の表情や言い方にこそ、本音が現れることを知っている。そのため、それらに対し注視せざるを得ない。

 コロナ以前の私たちは、対面のコミュニケーションでは、相手の表情などを含めたリアクションをとにかく気にしてきた。にもかかわらず、オンラインではリアクションは全体的に薄くなりがちだ。となると、今度はそこが気になり話がうまくいかない。コミュニケーションは、お互いで話しやすい環境を作ることが基本だ。

 コミュニケーションの最中、一方が、相手のリアクションが薄いと気にし始めてしまうと、今度はそれが相手に伝わり、相手が何かを気にしていることを気にしてしまう。そうならないように、私たちは何かを気にしていることを必死に隠そうとするが、今度は隠そうとしている表情などが相手に伝わり、相手がそれを気にして、コミュニケーションはますます崩れていってしまう。少し極端に書いてみたものの、こうした悪循環が対面よりもオンラインでは生じやすい傾向にある。相手が話をすることに集中できるか――そんな一面も考えてみてはどうだろう。

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