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コロナ下の映画作り スピード感と緻密なシナリオで 「大コメ騒動」の本木克英監督に聞く

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 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、政府は首都圏の1都3県に8日から1カ月間の緊急事態再宣言を発出した。その8日に全国公開が始まった邦画「大コメ騒動」は新型コロナ禍で「映画製作は難しい」といわれた状況を乗り越えて完成させたエンターテインメント作品だ。本木克英監督は「ウィズコロナ期の映画製作は、現場主義に徹したスピード感と細かいシナリオ作りが必要だ」と指摘する。その姿勢は、収束の見えない新型コロナに立ち向かうビジネスパーソンにも役立ちそうだ。

 ――「大コメ騒動」は1918年に富山県で起きた米騒動をテーマにした群像劇です。当時の日本は第1次大戦での好景気を背景に資本主義が進展する一方、多くの罹患(りかん)者を出したインフルエンザの「スペイン風邪」も流行していました。高騰を続ける米価に家庭を預かる主婦らが抗議し、「女一揆」とも呼ばれた運動は全国主要都市に波及。結局寺内正毅内閣の総辞職にまで至りました。民衆の怒りで大きく社会が動くありさまは、昨年の「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命は大切だ)」とも重なります。

 「2019年11月に富山県で現地ロケを、新型コロナの感染が拡大していた20年2~3月に映画編集を行いました。米騒動は女性が起こした社会運動だとの捉え方もできます。しかしこの映画では、史実を徹底的に調べながら、あくまで娯楽作品の世界に持って行けるようにしました。政治的主張を狙いとするのではなく、登場人物のひとりひとりを丁寧に描写することで、映画館に足を運んだファンに、さまざまな思いを感じてもらえる作品を目指しています」

 ――コロナ禍では一時的に声高な議論が注目されることもありますが、最終的には理性的なメッセージが心に残っていくようです。主役に井上真央さんを起用した狙いはどこでしょうか。

 「スター自身であることを忘れさせる演技力を持つ俳優を主役にと心がけています。スクリーン上では観衆に『井上真央が演じている』と思わせず、あくまで家庭思いで向上心の強い、市井の一女性になりきってくれています。女性が我慢を重ねて最後にエネルギーを爆発させる演技が非常に似合います。かつて『超高速!参勤交代』で佐々木蔵之介さんに主役を依頼したのも、役に徹しきれる力量の持ち主だったからです」

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