2030年の自動車産業

自動車ニューノーマル 6つのポイント 中西孝樹・ナカニシ自動車産業リサーチ代表に聞く(1)

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 脱炭素社会への動きが加速している。自動車も従来のガソリン車から電動車などにシフトする。日本の産業は自動車に大きく依存しているだけに影響は大きく、完成車メーカーだけでなく部品、設備など関連企業は早急な戦略転換が迫られる。「移動」に関する人々の意識や手段自体が大きく変わりつつある一大変革期。自動車産業はどこに向かうのか。

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、業績悪化からの脱出を模索する企業が多い中、自動車メーカーはいち早く回復基調に転じている。昨年4~6月期に激減した新車需要は、中国や北米を中心とした堅調な需要に支えられ、21年3月期の業績見通しはトヨタ自動車や日産自動車、ホンダなど国内6社が売上高と営業利益を上方修正した。しかし、自動車業界の今後には不透明感が漂う。CASE(つながる車、自動運転、シェアリング、電動化)の進展や在宅勤務・オンライン販売の普及など、クルマを取り巻く環境が大きく変化しているからだ。アナリストの中西孝樹・ナカニシ自動車産業リサーチ代表は「自動車のニューノーマル」として6つのポイントがあると説く。

 米中の需要回復がマーケットの予想を超えて力強い。大手証券会社の中には、今年の新車の世界販売台数がコロナ禍以前の約9100万台並みになるとみる声も出ている。中国は公共工事向けのトラック、米国ではピックアップトラックや多目的スポーツ車がけん引役だ。2008年のリーマン・ショック時には中国の巨額な財政出動と、欧州で新車に買い替えることを促すスクラップ・インセンティブ導入で危機から12カ月後には世界の新車需要は復元した。

 ただ「カネ」の動きが停止したリーマン・ショックと「ヒト・モノ」が制限されたコロナショックとでは本質な違いがあることは間違いない。中西氏は「コロナと共生、あるいは克服するための新たな価値観と行動様式を醸成する時期に来ている」と語る。自動車産業における新常態を測るポイントに(1)新車販売台数の長期的な成長は期待できない(2)世界の各地域で二極化が進む(3)車両移動距離は安定成長も、その中で次世代走行システム(MaaS)の構成比が上昇する(4)CASEは際どく加速する(5)顧客接点オンライン化は早い(6)スマートシティー(未来型都市)の重要性が高まる――を同氏は挙げている。

 まず新車販売台数の見通しだ。現在は各国の手厚い補助金と低金利ファイナンスで、富裕層などを中心に新車需要が上向いている。しかし将来必ず財政・金融政策見直しの時期が来る。「3密回避の移動手段として既存モビリティーの価値変化が起きる」と中西氏は指摘する。保有台数、移動距離、車両走行距離などでみた移動の量的変化が起き、2016年にピークを迎えた世界新車販売台数のレベルに戻るのは24年以降とみる。25年以降の成長も緩いものになるだろう。

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