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地方移住の成功戦略とは?「壁」に風穴 地域に新風を 同志社大学政策学部教授 太田 肇

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移住者が多い地域は暮らしやすい

 最後に移住地の選択も重要だということを付け加えておきたい。

 徳島県の南部に海部町(現在は海陽町の一部)という自然に恵まれた田舎町がある。コミュニティの特徴と住民の精神衛生について研究している岡檀氏によると、同町は陸続きの土地としては全国でもっとも自殺率が低い。ふるい田舎町であるにもかかわらず、この町では個人の自由意思が最大限に尊重され、人びとに対する統制や均質化が意図的に避けられている。そしてもう一つの特徴は、この町が多くの移住者によって発展してきたことだ(岡檀『生き心地の良い町』講談社、2013年)。

 この町だけが特殊なのではない。大都市の近郊にあり近接する二つの市がある。一方の市では地域活動がボランティアによって担われ、参加の強制がいっさいない。その市には他方の市から転入してくる若年者が絶えないそうだ。やはり移住者が多い地域は、それだけ暮らしやすいといえよう。

 しっかりとした戦略を練れば、移住の壁は突破できる。

太田肇(おおた・はじめ)
同志社大学政策学部・同大学院総合政策科学研究科教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。経済学博士。専門は組織論、とくに「個人を生かす組織」について研究。元日本労務学会副会長。組織学会賞、経営科学文献賞、中小企業研究奨励賞本賞などを受賞。『「承認欲求」の呪縛』(新潮新書)、『「ネコ型」人間の時代』(平凡社新書)、『公務員革命』(ちくま新書)、『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)、『個人尊重の組織論』(中公新書)、近著に『「超」働き方改革』(ちくま新書)など著書多数。

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