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地方移住の成功戦略とは?「壁」に風穴 地域に新風を 同志社大学政策学部教授 太田 肇

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地域は意外と変えられる

 ある地域ではかつて、自治体が音頭をとって移住者と地域住民が懇談の場を設け、腹を割って話し合った。その結果、それまで狭い地域ごとに選出していた地域の役員を複数の地域から選ぶようにして役職の数を減らしたり、各自の生活事情や希望に応じて役員を割り当てられるように立候補制を取り入れたりするようになった。それによって休日のたびに会合や地域活動に駆り出されるような状況が改善され、元からの住民にも評判がよかったという。

 また最近では各種の連絡を電子メールやLINEで行うように提案し、会合や連絡の負担を大幅に減らせたという例もある。

 自分の特技をいかして地域に溶け込んだ人もいる。

 一家で地方に移住したある家族は、その地域に学習塾がないことに目をつけ、専業主婦だった妻が地域で塾を開いた。塾では地域の子に混じってわが子も一緒に学習を続けるうちに、わが子は地域に友だちができ学校にもスムーズに溶け込んでいったそうだ。自分がかつてサッカー選手だった経験を活かし、地域でサッカー教室を開いて子どもたちの人気者になっている人もいる。

いっぽうでは逃げ道も

 会社ぐるみで地方に移転する場合には会社も当然、会社と社員が地域に受け入れられるように地域貢献すべきだろう。過疎地域に進出した企業のなかには、従業員送迎用のバスに児童・生徒を無償で乗せていた例がある。就職先が少ない地域では、都会の本社への採用も含め、地元出身者のために一定の採用枠を設けてもよいのではないか。

 ただいっぽうでは、いざというときのために移住者が逃げ道をつくっておくことも大切だ。万が一、地域に受け入れなかったとき、慣れない生活について行けなくなったとき、逃げ道がないと本人も家族もまいってしまう。

 そのようなケースに備えて別の居場所を残しておくとよい。当分の間は都会に拠点を残しておくというのが定番だが、経済的な理由などから困難な場合もある。そこで頼りになるのがインターネットである。ネット上では地方移住者のための交流サイトや田舎暮らしのノウハウを教えてくれるサイトがたくさん存在する。ネットで知り合った移住者どうしがリアルな交流会を開いているケースもある。

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