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地方移住の成功戦略とは?「壁」に風穴 地域に新風を 同志社大学政策学部教授 太田 肇

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 コロナ禍の影響で地方移住がちょっとしたブームになっているなかで前回、移住には共同体の壁が多く、相当の覚悟がいると述べた。しかし、だからといって移住を尻込みする必要はない。

移住の「壁」に耐えるより、打ち破るほうがよい

 移住者の前に立ちはだかる「壁」は厚いようで、実はあんがいもろい面がある。それゆえ壁の圧力に「耐える」のではなく、「打ち破る」ほうが成功する見込みは大きい。

 そこで今回は、古い共同体の壁を打ち破る移住戦略について述べてみよう。

 まず知っておきたいのは、すべての住民が古い慣習や閉鎖的な風土に満足しているわけではないということである。まして、それを積極的に肯定している人はむしろ少数派である。とりわけ若い人びとのなかには自分自身が古い慣習や地域の閉鎖性に窮屈さを感じ、移住者を受け入れるためにもそれを変えなければならないと思っている人が多い。そこに目をつけるべきだ。

 ポイントは「守り」に入らないことである。逆に自分が望むような生活スタイルを提示し、地域の要求と折り合いをつけながら認めてもらうこと。そして、できれば地域の改革者になるくらいのつもりでいたほうがよい。

 ただ、一人で改革の旗を揚げても失敗する可能性が高い。そこで大切になるのは同志を募ることである。どこの土地にも、本気で地域を変えたいという志を抱いている人がたいてい数人はいるものだ。

Uターン組を味方に

 では、そのようなキーパーソンをどうやって見つけるか?

 とくに目をつけたいのが「Uターン」組である。いったん都会に出て生活した経験をもつUターン者は、都会人の感覚も地方住民の感覚や生活事情、それに生粋の地元民は気づかない不合理な点などを知っている。また地元出身ということで地域に顔が利く。実際、Uターン者が移住者の定着に一役買っているケースは各地で見られる。

 もちろん地域に住み続けている人のなかにも、「町おこし」に積極的な人は少なくない。たとえば町の広報などをネットで調べれば見つかるし、役所に問い合わせると教えてもらえることが多い。

 キーパーソンとタッグを組めば、自分たちが住みやすい地域に変えていきやすい。意外なのは改革者の声が一定程度の影響力を持つと、何十年も続いてきた岩盤のように見える慣行が一挙に見直されたり、廃止されたりするケースがあることだ。

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