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バイアス抑制し辛口評価 ウェブ面接で適性見極め ビジネスリサーチラボ代表 伊達洋駆

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、インターネットを介した「WEB面接」を導入する企業が増えました。とはいえ、中小企業のWEB面接の導入率は低い傾向にあります。本コラムでは中小企業の採用担当者に向け、「WEB面接における適性の見極め」について情報提供します。

身ぶり手ぶり・視線など「非言語的手がかり」少なく

 私たちが昨年まで当たり前のように実施していた面接を「リアル面接」と呼んでおきます。面接官と候補者が面と向かって会話する面接です。

 対してWEB面接では、面接官と候補者が別々の場所にいます。PCやスマートフォンなどを用いて、上半身が映し出された相手を見ながらやりとりをします。

 WEB面接はリアル面接と比べて、「非言語的手がかり」が少ないのが特徴です。非言語的手がかりとは、言葉以外の情報を指します。例えば、身ぶり手ぶり、視線、服装、においなどが該当します。

 非言語的手がかりが少ないと、会話が進めにくくなります。非言語的手がかりの一つ、視線に注目してみましょう。PCでWEB面接を実施するシーンを想像してください。

 ディスプレーには相手の顔が映し出されています。人は話をする際に相手の目をみますが、自分をとらえるPCの内蔵カメラの位置は、相手の顔の位置とずれています。結果、互いに視線が合わない状態になります(※1)。

 ところが、会話における話者交代は視線で制御されている、という研究もあります(※2)。私たちは相手の目を見て、「いま自分が話す番だ」と自然と判断しているのです。

 このような理由からWEB面接は会話に難ありですが、実際に、WEB面接の面接官を対象にした調査においても、会話のやりにくさは報告されています(※3)。

リアル面接で合格する候補者がウェブ面接では不合格にも

 非言語的手がかりが少ないことで、会話がスムーズにいかないWEB面接。その影響は「見極め」にも及びます。結論をいうと、WEB面接は評価が「辛口」になることが分かっています。

 2000年から2007年に行われた研究を総合的に分析した論文によれば、テクノロジーを用いた面接のほうが、候補者に対する評価が低くなることが見いだされています(※4)。

 リアル面接はテクノロジーを用いていませんが、WEB面接は用いています。WEB面接は、私たちが慣れ親しんだリアル面接よりも厳しい採点になるということです。

 この理由として考えられるのは、会話のやりにくさです。会話がやりにくいと、候補者は能力を十分に発揮できません。そのため、評価も普段より低くなります。

 さらには、このような研究もあります。WEB面接で接続に問題が生じた際、面接官はプロバイダーなど第三者、もしくは候補者の責任だと考えるようです(※5)。

 とりわけ、候補者の責任と考える点は注目に値します。たとえ部分的であれ、WEB面接がうまくいかない原因を候補者に求める心理が面接官に働くとすれば、WEB面接の評価が低くなるのも納得です。

 しかも、面接はWEBでもリアルでも、合格より不合格にするほうが気が楽です。合格にすれば、その後の面接で「なぜ、こんな人を合格にしたのか」と言われるリスクがあります。しかし、不合格にすれば、そのリスクはありません。

 もちろん、すべての面接官がこうした思考回路で動いているわけではないでしょう。ただし、不合格がリスク回避につながる側面と、WEB面接で評価が低くなりやすい側面が掛け合わされば、リアル面接なら合格だった候補者が、WEB面接では不合格になる事態も想定できます。

 候補者を集めることに苦労する中小企業にとって、この事態は好ましくありませんし、候補者にとってもそうです。WEB面接では、候補者の長所を発見すべく努める必要があります。

 例えば、(1)リアル面接より時間を少し長めに設定する。(2)ネガティブチェックをしないように気をつける。(3)候補者の長所を書き込む欄を面接評定表に追加する。(4)面接の前半で内心、合否を決めないようにする。(5)迷ったら次の面接に送る、といった対策が考えられます。

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