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「イエレン財務長官」日本のGDPを0.3%押し上げ

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 米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領(民主)は11月30日、次期財務長官にイエレン米連邦準備理事会(FRB)前議長を指名すると発表した。米国経済のかじを取る財務長官・FRB議長の両トップを歴任するのはカーター政権のミラー氏以来だ。足元の経済対策協議は難航しているものの、金融と財政を一体化した経済対策を円滑に進めやすくなるともみられている。「イエレン財務長官」の人事をどう読むか、米国経済に精通する大和総研の橋本政彦・シニアエコノミストに聞いた。

スムーズな人事承認から経済政策発動目指す

 「イエレン財務長官」は市場に好感されており、株価を下支えする「イエレン・プット」のムードを指摘する声もある。米メディアが第一報を報じた11月24日のニューヨーク株式市場は、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待もあって対ダウ工業株30種平均が史上初めて3万ドル台に乗せた。雇用情勢を重視する労働経済学の専門家で、リーマン・ショック後にFRBが実施した金融危機対応策からの脱却に手腕を発揮した74歳の重鎮が表舞台に復帰する。新型コロナ対策として財政出動に積極姿勢とも伝えられる。

 なぜイエレン氏か。橋本氏は「米上院でスムーズに人事承認を受けたい新政権の思惑がみえる」と分析する。現時点で上院での確定議席は共和50・民主48で、最後のジョージア州2議席は年明けに決まる。もともと共和党が2議席を占めていた選挙区で、総合的には共和優位の流れだ。財務長官候補には一時、ウォーレン上院議員やブレイナードFRB理事らの名前も挙がっていた。しかしウォーレン議員は企業、富裕層への増税を訴える急進左派の代表格で、ブレイナード理事も比較的左派に近いという。「共和党の抵抗にあって人事承認が後ずれすれば、肝心の経済対策も遅れる」と橋本氏。イエレン氏なら民主党左派にも受け入れられ、共和党ものみやすいという見立てだ。

「財務長官・FRB議長の両トップ」サマーズ氏は挫折

 イエレン氏起用の背景は、サマーズ元財務長官のケースと比較すると分かりやすい。イエレン氏以前に、財務長官・FRB議長の両トップを経験する最短距離にいたのは、クリントン政権で大胆な金融緩和を進めたサマーズ氏だった。16歳でマサチューセッツ工科大に入学し、28歳で史上最年少のハーバード大教授、同大学長も務めた文字通りの「神童」だ。

 2013年にはバーナンキ氏の後任となるFRB議長候補に有力視されたが、共和党だけでなく身内のはずの民主党内にも反対が根強く、最後は自ら辞退を当時のオバマ大統領に申し入れた。結局議長後任となったのは表だった反対が少ないイエレン氏だった。

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