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アドビ・AOKI・牛角…「サブスク」成否分けた条件 楠木建・一橋ビジネススクール教授に聞く(2)

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 現代は100年に1度の変革期にあり、2020年はその真っただ中なのかもしれない。サブスクリプション、DX(デジタルトランスフォーメーション)、人工知能(AI)といった情報技術の革新的な進歩が、経営手法やビジネスツールを大きく変えようとしている。これに乗り遅れることは、企業の成長にとって致命傷になりかねず、時代の流れを素早く自社に取り込もうとする経営トップもいるだろう。しかし、一橋ビジネススクールの楠木建教授は「流行の最先端に飛びつく前に自社の戦略ストーリーを確認することが欠かせない」と警鐘を鳴らす。同教授が説くのは同時代性のワナを見抜く「逆・タイムマシン経営」だ。

 ――情報革命が恐ろしいスピードで進行しています。新型コロナウイルスの感染で経済活動が制約されている中でも、時代の先駆けを思わせるさまざまなアイデアが発信されています。

旬の手法には「飛び道具トラップ」も

 「いつの時代でも最先端のベストプラクティスやビジネスモデルが言い立てられます。旬の経営手法やツールを取り入れれば、たちどころに懸案が解決し成長路線を進むことができると思い込んでしまう『飛び道具トラップ』には注意が必要です」

 ――しかし経営トップの先を読む力が、最も求められているのは現代ではないですか。昨年辺りから注目を集めている「サブスクリプション」(サブスク)は今年も大きな影響を与えています。

 「サブスクが急速に広まった背景のひとつはスマートフォン(スマホ)を使った決済手段の普及です。新聞・雑誌の定期購読やクレジットカードでは心理的なハードルが高かったのですが、一気に下がりました。クレジットカードの番号をスマホに登録すれば指先を動かすだけで、複数のサービス決済ができます。特に大きいのは解約コストです。試してみて気にいらなければすぐ解約できます」

 ――米ソフトウエア大手のアドビがサブスクで業績を伸ばしたことは業種を超えて多くの企業に注目されました。

 「アドビの昔からの主力製品である『フォトショップ』や『イラストレーター』はクリエーターやデザイナーらに無くてはならない定番のソフトです。ただパッケージで約30万円という価格の高さが大きな課題でした。このため業績は安定していたものの株価は横ばい状態でした。しかしパッケージソフト販売から決別し全面的にサブスクに切り替えたことで、新たなユーザーを獲得しました。海賊版や他社製品を利用していた人々を取り込んだのです」

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