日経SDGsフォーラム

SDGsで100年続く街を 共生・環境…時代の求めに即応

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 街(まち)は場所自体を変えることはない。そこに集い、働き、憩い、楽しむ人たちが、明るく豊かに過ごせるかによって表情を変えるのだ。街づくりには常に時代の要請がある。社会との共生、地球への配慮がいまほど問われるときはない。「100年続く街づくり」を目指す三菱地所。SDGs(持続可能な開発目標)の考え方は、同社の経営理念を支える柱そのものだ。

 人と人とが交差 時代の求めに即応

 「トウキョウトーチ」。火をともした松明(たいまつ=トーチ)のイメージを名前に刻んだ街が新しく生まれる。三菱地所が東京駅前・常盤橋エリアで進める再開発事業だ。かつて江戸城の玄関口だった場所に、日本一となる高さ390メートルの超高層ビルを建設する。未来を明るく照らす意味を込めている。

 敷地面積約3ヘクタール、総事業費約5000億円のプロジェクト。働くためだけでなく、多様な人が行き来し、憩い、楽しめる街に育てる。目指すのは、社会と共生し、課題を解決する「100年続く街づくり」だ。

 そこには、SDGs(持続可能な開発目標)のコンセプトが縦横に張り巡らされている。例えば、「地方創生」という日本が抱える課題。このプロジェクトでは地方自治体とタッグを組み、魅力を世界に発信していく考えだ。親水空間の池には、新潟県小千谷市のニシキゴイを放つ。四季折々の花を咲かせる空間は静岡県裾野市の協力を得る。

 SDGsの理念であるダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包摂性)も強く意識している。人生100年時代へ、人々の様々なライフステージに答えてこそ、街は多彩な輝きを持つことができる。地球環境への配慮はもちろん、災害にも強い設計とし、災害時には避難場所としての役目を果たす。

 三菱地所は「丸の内の大家」と呼ばれ続けてきた。草地でしかなった東京・丸の内を明治政府から譲り受けたのが130年前のこと。以来ずっと東京の中心エリアとして発展できたのは、常に時代の要請に応えてきたからだ。「サステナビリティー」は停滞の上にはなく、変化し続ける先にこそある。

 例えば大手町に設けた「3×3ラボ・フューチャー」という空間。ここでは次世代のサステナブル社会の実現を目指す異業種の人たちが交流、活動している。三菱地所はその橋渡し役を担っている。

 いま世界はコロナ禍という未曽有の試練に直面している。都心のオフィス空間のあり方も根底から問われた。画一的だった働き方を柔軟で持続可能なものにし、新たな価値を生み出せる空間づくりへ、大胆な再定義を探る機会にもなるはずだ。

 街は生き物だ。行き来する人の足取りや息づかいまで、すべてに活気が宿ってこそ発展できる。街に生命を吹き込む未来志向の経営。SDGsは不動産会社が背負う使命なのだ。

(編集委員 藤田和明)

 社会課題の解決 顧客とともに――
 不動産は、唯一無二のものです。その場所がもつ歴史を背負い、未来につないでいくのが我々の事業です。常にエリアとして成長し、顧客とともに社会課題を見つけて解決に努める。我々が目指すのは、SDGsそのものだといえます。
 東京駅前の再開発事業「常盤橋プロジェクト」は、「日本を明るく元気に」というコンセプトを掲げています。未来を照らす、あかりのような役目を果たしていきたい。取り組むべき社会課題でいえば、例えば地方創生があります。全国の自治体と連携し、食材や祭りなど日本各地の魅力的な伝統文化を、この場所から世界へ発信していきます。
 東京・大手町、丸の内、有楽町からなる「大丸有」では、エリアマネジメントという手法で、街一体としてSDGsに取り組んでいきます。2050年に二酸化炭素(CO2)排出量を87%削減することが目標です。ごみ処理を効率化し、災害に強い強じんな街にしていきます。
 コロナ禍によって人々の働き方の変化は加速するでしょう。しかし都心のオフィス需要が減るとは思っていません。人と人が直接会って新しい発想を生み出す創造的な空間は、いっそう重要になります。在宅やサテライトなどをうまく組み合わて選択肢を増やし、生産性を高め価値を生む方向へ進んでいくと思います。
 100年という時間軸で、街を育てていくのが私たちの事業です。世代やジェンダー、国籍といった違いを越え、多様な価値観の人がボーダーレスで集い、交流する街。経済的なものだけでなく、訪れる人の心もゆたかになる街づくりです。社会や環境に貢献することで様々なステークホルダーから支持され、選ばれる企業であり続けたいと思います。

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