中小企業のためのオンライン採用学

リアルと真逆! オンラインで入社意欲高める構造化面接 ビジネスリサーチラボ代表 伊達洋駆

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中小は構造化を少しずつ進めればよい

 中小企業は、大企業に比べて採用にリソースをかけにくい環境にあります。そのため、事前に面接を設計せずに面接官に任せたり、面接官が雑談を主にした面接を行ったりしている中小企業もあるでしょう。

 確かに、そうした方法は先の研究を参照すれば、リアル面接では一定の有効性があります。しかし、WEB面接では候補者を惹きつけられません。WEB面接には構造化が必要です。

 とはいえ、面接の構造化をいきなり行うのは難しく感じられるかもしれません。そのような方に向けて、実は構造化には次のようなレベルがあることをお伝えしたいと思います(※4)。

(1)質問の設計について

・レベル1:何も制約をかけない

・レベル2:トピックなど限られたことのみ制約をかける

・レベル3:決められた中から質問を選択するなどの制約をかける

・レベル4:決められた質問のみを使うという制約をかける

(2)評価の方法について

・レベル1:全体的な評価を下す

・レベル2:多数の決められた基準にしたがって評価を下す

・レベル3:事前に決められた回答に従って評価を下す

 いずれもレベル1は、構造化がほとんどなされていない状態です。構造化を進める際は、まずレベル2を目指してみるのがよいでしょう。

 質問については、どのような話を聞くかだけは定める。評価については、基準をいくつか作ってみる。そうしたところから構造化を少しずつ進めていきましょう。

リアル面接は情緒的に働きかける場面で活用

 ここまで、WEB面接で志望度を高める方法を述べてきました。WEB面接の導入が社会的に進んでいるのは事実です。ただし、リアル面接がゼロになったわけではありません。

 そこで最後に、採用のオンライン化が進む中で、リアル面接をどのように活用するとよいかに触れておきましょう。

 前述の通り、WEB面接では非言語的手がかりが少なくなります。裏を返せば、リアル面接では非言語的手がかりがたくさん得られるということです。

 先行研究の中で、非言語的手がかりは人の「感情」や「態度」を伝えるのが得意であるとされています(※5)。うれしい気持ちは、言葉で説明するより笑顔を見せる方が伝わりますし、「目は口ほどに物を言う」ということわざもあります。

 非言語的手がかりが豊富で感情を伝えやすいリアル面接では、候補者に対する情緒的な働きかけが可能です。

 そこで例えば、候補者が意思決定を下す採用の最終局面で、役職者が自社の理念を語ったり、「自社に来てほしい」と候補者に訴えかけたりする場面において、リアル面接は惹きつけの効果を発揮することでしょう。

伊達洋駆(だて・ようく) 株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役
神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了、修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、11年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、HR領域を中心に調査・コンサルティング事業を展開し、研究知と実践知の両方を活用したサービス「アカデミックリサーチ」を提供。13年から採用学研究所の所長、17年から日本採用力検定協会の理事を務める。共著に『「最高の人材」が入社する 採用の絶対ルール』(ナツメ社)、『組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス』(ソシム)

※1:厳密にはリアル面接、WEB面接、電話面接を比較していますが、本コラムではリアル面接とWEB面接を比較した箇所に注目しています。Straus, S. G., Miles, J. A., and Levesque, L. L. (2001). The effects of videoconference, telephone, and face-to-face media on interviewer and applicant judgments in employment interviews. Journal of Management, 27(3), 363-381.

※2:Baltes, B. B., Dickson, M. W., Sherman, M. P., Bauer, C. C., and LaGanke, J. S. (2002). Computer-mediated communication and group decision making: A meta-analysis. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 87(1), 156-179.

※3:Chapman, D. S., and Rowe, P. M. (2002). The influence of videoconference technology and interview structure on the recruiting function of the employment interview: A field experiment. International Journal of Selection and Assessment, 10(3), 185-197.

※4:Huffcutt, A. I., and Arthur, W. (1994). Hunter and Hunter (1984) revisited: Interview validity for entry-level jobs. Journal of Applied Psychology, 79(2), 184-190.

※5:深田博巳(1998)『インターパーソナルコミュニケーション:対人コミュニケーションの心理学』北大路書房。

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