中小企業のためのオンライン採用学

リアルと真逆! オンラインで入社意欲高める構造化面接 ビジネスリサーチラボ代表 伊達洋駆

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 新型コロナウイルス感染症の影響で、対面の採用面接を実施することが難しくなりました。代わりに増えているのが、インターネットを介して実施するWEB面接です。しかし、HRプロが2020年6月26日から7月2日に収集したデータにもとづけば、WEB面接の実施について大企業は84%、対して中小企業は47%と、企業規模による差が生まれています。本コラムでは、導入が遅れている中小企業が「WEB面接を通じて候補者の志望度をいかに高めればよいか」を解説します。

 はじめに確認しておくべきは、対面かWEBかを問わず、面接では「見極め」と「惹(ひ)きつけ」の2つを実行しなければならない点です。見極めは候補者の適性を評価すること、惹きつけは候補者の志望度を高めることを指します。本コラムが扱うのは、後者の惹きつけです。

WEB面接は手法を誤ると印象高まりにくく

 WEB面接は対面での面接(以降、リアル面接)と比べて、候補者の志望度を高めやすいのでしょうか。それとも、そうではないのでしょうか。

 MBA生を対象に模擬面接を行い、WEB面接とリアル面接を比較した研究があります(※1)。この研究によれば、WEB面接はリアル面接よりも会話がスムーズではなく、会話内容の理解が進みにくく、面接官に対する好意度が低いことが明らかになりました。

 このように、WEB面接はリアル面接より惹きつけが難しくなります。この背景にあるのは、「非言語的手がかり」の不足です。非言語的手がかりとは、身ぶり、手ぶり、視線、服装など、言葉以外の情報を意味します。

 オンラインでのコミュニケーションは、リアルのコミュニケーションより非言語的手がかりが「少ない」と言われています(※2)。つまり、WEB面接では非言語的手がかりが減るのです。

 非言語的手がかりが少ないと、円滑なコミュニケーションが妨げられます。そのため候補者は、WEB面接で自らの能力を十分に発揮できません。

 人は誰でも多かれ少なかれ、自分がうまくいかない状況に直面すると、それを「自分」ではなく「相手」のせいだと考える傾向があります。したがって、候補者が面接で能力発揮感をもてないと、企業への印象が高まりにくいのです。

WEB面接では質問や評価手法をあらかじめ定める構造化が重要

 一般に、候補者の志望度を高めにくいWEB面接。それでは、どのような対策をとれば惹きつけを強化できるのでしょうか。キーワードは「構造化」です。

 面接において候補者に投げかける質問や、候補者の回答に対する評価の方法をあらかじめ定めることを、構造化と呼びます。興味深いことに、構造化の効果はWEB面接とリアル面接では正反対に現れます。

 実際の求職者を対象に、リアル面接とWEB面接のいずれかに割り当て、面接後の求職者の心理を検証した研究があります(※3)。リアル面接を受けた人は、構造化されてい「ない」面接を行った企業に魅力を感じたのに対して、WEB面接を受けた人は、構造化面接を行った企業に惹かれました。

 リアル面接では、構造化が志望度に悪影響を及ぼす半面、WEB面接では、むしろ構造化が惹きつけにつながったのです。

 WEB面接は、構造化されることで会話がやりやすくなり、能力発揮感を覚えて、企業に好印象を抱くのでしょう。構造化がWEB面接の弱点をうまく補ったと言いかえられます。

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