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「400万台」の教訓 トヨタ・ホンダ なぜ同時代性のワナ回避できた? 楠木建・一橋ビジネススクール教授に聞く(上)

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 激動の2020年は、最後まで波乱の連続になりそうだ。米バイデン新政権への移行準備は進まず、日本社会は新型コロナウイルス感染の第3波に見舞われている。先行き不透明の不安な時代をどう切り抜けるべきか。企業にとっては新たな指針が欲しいところだ。しかし一橋ビジネススクールの楠木建教授は「現代の経営者は多くのノイズに囲まれている。同時代性のワナに捕らわれてはいけない」と強く警鐘を鳴らす。

「年間400万台生産しないメーカーは淘汰される」

 ――新型コロナの第3波流行を受け、改めて新時代のビジネスモデルが模索されています。

 「最新技術や企業動向は、あらゆるメディアで発信され、SNS(交流サイト)で拡散されます。先端的な事象についての情報は大事ですが、旬の言説は必ず、その時代のステレオタイプ的なものの見方に侵されています。情報の受け手の思考や判断にもバイアスがかかり、『同時代性のワナ』にかかる恐れがあります」

 「企業は同じ業種であっても、それぞれが培ってきた独自の経営戦略のストーリーがあります。どうやってビジネスモデルを構築し、何で稼いでいるのか、答えは100社100様です。自社のストーリーを無視して同時代性のワナに取り付かれると、経営の意思決定が狂うことになります」

 ――過去のバズワードのひとつが、1990年末に自動車業界で巻き起こった「400万台クラブ」ですね。

 「独ダイムラーの米クライスラー買収を契機に『年間400万台生産しない自動車メーカーは淘汰される』と熱狂的に言い立てられました。当時販売台数で世界1位の米ゼネラル・モーターズ(GM)も2位のフォードもM&A(合併・買収)走り、日本でも日産がルノーと提携し、ルノーのカルロス・ゴーン上席副社長が最高執行責任者(COO)として送り込まれてきました」

 「しかし約20年後の現在では死語と言って良いでしょう。2007年に『ダイムラークライスラー』は解体され、米クライスラーは09年に連邦破産法の適用を受けました。GMも同時に破綻し、フォードは買収した傘下の事業を中国・インド企業に売却しています」

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