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「バイデノミクス」に死角? 4つのチェックポイント

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 混戦を極めた米大統領選挙も民主党のバイデン前副大統領の当選が確実となり、焦点は新政権の経済政策「バイデノミクス」に移った。トランプ政権に比べ政策の予見性が高まることから、米経済界は相次ぎバイデン氏を祝福し、足元の株式相場は日米ともに堅調に推移している。しかし死角はないか。バイデノミクスの動向でチェックすべき4つのポイントについて、大和総研の橋本政彦・シニアエコノミストに聞いた。

米上院で高まる民主党政策の実現性

 バイデノミクスの特徴は、富裕層や企業に対する増税と「大きな政府」による財政出動だ。4年で2兆ドルの巨額投資で経済押し上げを狙う一方、巨大IT企業や金融機関への規制強化に動く可能性も指摘されている。米政界で存在感を増した民主党急進左派の主張と、同党本流の伝統的な経済政策を組み合わせたものになる。

 第1のポイントは米上院の勢力図。財政政策を含む法案策定は議会の権限で、カギを握る上院は共和党優位の「ねじれ議会」となる見方が多かった。しかし最終的には来年1月の南部ジョージア州2議席の決選投票で確定する。結果が民主50:共和50ならば、最後に副大統領に当選したハリス氏の行使する1票で決まることになる。「トリプルブルー」(大統領・上院・下院でいずれも民主党優位)が実現する。

 過半数に届かなくとも、民主党が改選前の47議席より勢力を増やすのは確実。共和党側も、世代交代などで「小さな政府」を信条とする主流派議員が減少している。橋本氏は「共和党議員の造反で民主党寄りの政策が実現しやすくなる可能性がある」と分析する。

 となれば、最初に動き出すのは民主党が提出している約2兆ドル規模の新型コロナ追加支援策だ。「本丸」のバイデノミクスは、再生エネルギーや公共インフラに社会保障給付の積み増しなども合わせれば、10年で10兆ドル規模の歳出増とも試算されている。ただ米上院にはフィリバスター(議事妨害)という制度がある。「覆すためには上院で60票の賛成が必要となるので、極端に民主党に寄った政策を通すのは容易ではない」と橋本氏はみる。民主党急進左派の政策実現はハードルが高い。

 次は増税の行方だ。バイデノミクスは法人税を21%から28%に引き上げ、米国企業の海外子会社の収益に対する追加徴税を掲げる。年収40万ドル以上の富裕層への増税やキャピタルゲイン税の引き上げ、金融取引税の導入も実施する方針だ。米国の景気回復に短期的にはマイナスに働く。しかし「米国会計年度の慣習から逆算すると、増税が実現するのは最短でも2022年初頭から」と橋本氏。バイデン新政権がスタートする来年1月20日から負担増のリスクが生じるわけではない。

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