アフターコロナの働き方

幸せな働き方 お手本は地方中小 北欧モデルで生産性高く 同志社大学政策学部教授 太田 肇

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 理想的な働き方や生活スタイルのモデルとして、しばしば注目されるのがスウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェーなど北欧諸国である。

 たしかに国民の幸福度をみてもフィンランド (1位)、デンマーク (2位)、ノルウェー (5位)、スウェーデン (7位) と、これらの国がランキングの上位を占めており、人びとの憧れを呼ぶのはうなずける。いっぽう日本は153か国中62位にとどまっている (SDSN 2020年版幸福度ランキング)。

幸福度上位の北欧諸国は、働き方も日本と対照的

 調査結果を詳しくみると、これら北欧諸国と日本とでは「人生の選択の自由」にはっきりとした差があることがわかる。そこで両者の労働者生活を比較してみることにしよう。

 北欧に限らず欧米の労働者は、本人の意向を無視した配属や人事異動、転勤を命じられることはまずない。逆に転職しても大きな不利にならず、条件のよい職場があれば迷わず会社を移る。また北欧の人びとは長期のバカンスを満喫し、有給休暇はほぼ100%取得する。労働時間も週に40時間以下であり、残業はほとんどない。そして社会保障は厚く、教育も無償のところが多い。

 けれども、ほとんどの国では給与水準がそれほど高いわけではなく、所得の半分くらいを税金として納めている。

 それでも安心してゆとりある生活が送れるのは、夫婦が共働きで、しかも対等な所得を得ていることが大きい。さらに共働きであるため、そもそも遠隔地への転勤や長時間労働ができないという現実もある。

 いっぽうわが国では、配属や異動に本人の意向は必ずしも反映されず、辞令一本で国内外の転勤が命じられる。だからといって、不満があれば容易に転職できるほど労働市場は成熟していない。そしてコロナ禍で状況が多少変化しているとはいえ、日常的に残業があり、有給休暇は半分ほどしか取得されないのが現実だ。

 こうしてみると、日本人の働き方は北欧の人びととまさに対照的であり、自由度の実感、そして幸福感に大きな差が生じるのは当然だといえよう。

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