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米大統領選 混乱長引けば4つの経済リスク

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米国社会の分断映した議会、経済政策の決定遅れも

 第2のリスクは、貿易停滞による悪影響だ。新型コロナ感染は、米国だけでの問題ではない。欧州ではフランス全土でロックダウン(都市封鎖)、英国もイングランド全域でロックダウンを開始した。

 米国の7~9月期の実質輸出は、前期比年率59.7%と3四半期ぶりの増加に転じ、実質輸入も同91.9%増と米国経済の急回復を支えた。橋本氏は「国際社会で経済・社会活動の規制が強まれば、米国企業の活動にマイナスに響く」と話す。回復ペースが鈍化するばかりか、二番底に陥る可能性も高まるという。大統領権限で、対中貿易の関税強化などに踏み切る政策手段は残されている。ただバイデン氏は国際協調を公約に掲げ、米国単独での規制には消極的とされる。

 コロナ禍に対応した米連邦準備理事会(FRB)の金融政策も出尽くし感がある。むしろFRBのゼロ金利・無制限量的緩和・信用緩和を財務省が支えてきた金融・財政一体化政策の副作用が第3のリスク要因だ。橋本氏は「米連邦公開市場委員会(FOMC)は少なくとも2023年末までゼロ金利の据え置きを見込んでいる。潜在成長率の低下は利上げをさらに慎重にさせる可能性がある」と分析する。大きく膨れ上がった連邦財政と企業の債務残高はさらに上積みしそうだ。将来ソフトランディングできるかどうかが問われる。

 第4のリスクは大統領と米議会とのねじれ現象で、財政出動を伴う追加対策を取れなくなっている点だ。橋本氏は「米国社会における分断の構図が、そのまま米議会にも反映されている」と指摘する。かつてなら民主・共和両党で妥協したケースでも、近年は交渉自体が成立せず多数派が押し切るケースが目立つ。

 10月に下院を通過した民主党による約2兆ドル規模の追加支援策は、「州・地方政府支援」や「失業給付金の拡充」「家計への現金給付」など、3月に成立したトランプ政権の支援策と重なる内容が多い。それでも共和党が強硬に反対して、決着は大統領選挙後に持ち越された。

 橋本氏は「バイデン大統領が実現すれば、積極的に国内での意見対立をあおるような言動は控え、表面的には対立は沈静化するかも知れない」と話す。しかし議会の亀裂はオバマ政権の後期から目立ち始め、同政権の揺り戻しともいえるトランプ政権の4年間でさらに広がった。「政治サイクルに伴う米国社会の分断と振り幅はさらに拡大し、米国経済の大きなリスク要因であり続けるだろう」と分析している。

(松本治人)

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