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21年卒採用 中小企業の51%「質・量とも満足」

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 中小企業の新卒採用環境が改善している。ディスコの「新卒採用に関する企業調査(2020年10月調査)」によると、内定解禁日(10月1日)時点で21年3月卒業予定者の採用を終了した中小企業は前年比8.3ポイント増の59.6%に達し、内定者に「質・量ともに満足」と答えたのは過半数の51.4%と同24.3ポイント増えた。「新型コロナ禍により、大手を中心に採用計画の縮小など売り手市場の勢いがとまったうえ内定辞退者も減少し中小企業にとっては、例年よりも採用しやすい状況だった」(ディスコの武井房子上席研究員)ことが背景にある。

 調査はディスコが9月28日~10月6日、全国の企業1万1495社を対象にインターネットで実施。1220社の回答をまとめた。従業員数別でみた内訳は299人以下(中小企業)が402社、300人以上999人以下(中堅企業)が466社、1000人以上(大手企業)が352社。

 中小企業のうち、10月1日時点で採用選考を「終了した」のは59.6%(前年は51.3%、以下同じ)と6割に達した。中堅企業は59.0%(59.9%)、大手企業は64.3%(58.3%)だった。

 採用予定数に対する内定者数の割合である充足率も73.4%(67.5%)に増えた。中堅は77.6%(79.1%)、大手は86.1%(84.1%)。上昇幅は中小企業が5.9ポイントと最も大きかった。内定辞退の数が前年に比べ減少傾向にあることが充足率を押し上げたようだ。

<図表>採用状況の満足度

 内定者に対する満足状況は「質・量ともに満足した」中小企業は51.4%(27.1%)と24.3ポイント上昇した。中堅は41.7%(29.3%)、大手は52.1%(32.3%)だった(図表)。「採用に満足した」中小の比率が前年に比べ2倍近くになり、大手並みになったことはインターンシップの活用がある。「インターンシップからの学生が多く、質・志望度とも高い学生が獲得できた」(専門店)という声があった。

 武井上席研究員は「学生にとってこれまで、中小のインターンシップ参加企業の内定は『おさえ』のような位置付けで、最終的には本命の大手企業を選ぶことが多かった。しかし、今年は3月以降、合同説明会や学内セミナーが軒並み中止になるなど、企業との出合いの接点が減ったことでインターンシップに参加していた中小企業への就職が現実的な選択となった」と分析する。

 とはいえ、中小への就職を余儀なくされたというわけではく、学生の意識に変化の兆しもみえるという。ディスコが21年3月に卒業予定の大学4年生を対象に実施した「10月1日時点の就職活動調査」で中小企業への選考応募状況をみると、1人あたりのエントリ―社数は平均9.5社と前年比0.5社増、実際の面接受験社数は平均2.6社と同0.1社増だった。大幅に増えているわけではないが、学生は「会社の雰囲気がよい」「やりたい仕事に就ける」といった積極的な理由で中小企業を受けている。武井上席研究員は新型コロナ禍による環境変化で「中小企業に対し、本命として真剣に向き合う学生も増えているのではないか」とみている。

 新型コロナ禍は収束の見通しがたたず、22年卒採用の動向は不透明だ。こうしたなか大手企業は、オンライン面接だけでなく、オンラインインターンシップなど新たな手法を導入している。企業規模に限らず今後は、環境変化に合わせ、自社の魅力をどう学生にアピールできるかが、採用の成否を分けそうだ。

(町田猛)

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