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トランプかバイデンか 大統領選後の米経済シナリオ

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■バイデン氏勝利、上院共和党、下院民主党―――パリ協定に復帰、脱炭素へ弾み

 議会とのねじれ状態にあって大統領が力を振るえないのは、バイデン氏がホワイトハウスを奪回したケースでも一緒。橋本氏は「労働者保護や顧客本位の投信販売(フィデューシャリー・デューティー=FD)推進、環境、IT関連に対する規制強化が中心になりそうだ」と予想する。地球温暖化防止のためのパリ協定に電撃的に復帰し、脱炭素への産業育成に弾みがつく可能性もある。

 対中政策は、オバマ政権時代から論議されてきた経済安全保障の側面が強いため、民主党政権が生まれても急な政策変更は考えにくい。「ただ対中関税強化にバイデン氏は現状ではコミットしていない」と橋本氏。中国製品に変わって他国からの輸入が増えるだけならば、国内産業の支援に有効かどうかは計れない面がある。

バイデン氏勝利、上院民主党、下院民主党―――増税で企業マインド悪化も

 いわゆる「トリプルブルー」。民主党左派の主張する企業・富裕層への増税と同党主流派の大きな政府による支出拡大という「バイデノミクス」に向かって新政権は進む。橋本氏は「個人、法人、資産課税を含めて対GDP比1%以上の増税になる」と指摘する。当然景気マインドにはネガティブに響くのは必至だ。ただ個人税制改革の主な対象は年収40万ドル以上の富裕層。それ以外の9割の米国国民は、扶養控除の拡大などで実質減税につながる可能性があるという。税制改革は格差拡大是正に加えて財源確保しても重要だとしている。

 バイデン氏は橋梁、道路、上下水道、クリーンエンルギー、ブロードバンドインターネットなどに対し、大規模なインフラ投資を主張している。2兆ドル規模の投資を期待する声もある。

 橋本氏は「GDP成長率の加速が見込まれる一方、企業増税による企業マインドの悪化、短期的な株価の重荷となる懸念もある」と結論する。日本経済に対する影響は、同盟国との国際協調を全面に打ち出していることからさまざまなテーマでの交渉の余地は広がるかも知れない。

郵便投票巡る混乱は限定的か

 実は第5のケースも存在する。約4600万人が済ませたという郵便投票(期日前投票全体は約6900万人)の扱いを巡って混乱し、次期大統領が数日から数週間も決まらない場合だ。11月3日の開票日に10州前後で大勢が判明しない可能性が浮上している。ただ橋本氏は「どのようなケースであっても、年内は現状のままの大統領府、議会構成で運営される。混乱が年越しまで続くとは考えにくく、一時的な投資マインドの冷え込みはあっても限定的だろう」と予想している。

(松本治人)

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