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トランプかバイデンか 大統領選後の米経済シナリオ

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 11月3日に行われる米大統領選が大詰めを迎えている。29日に発表された7~9月期の米GDP(国内総生産)値は前期比(年率換算)33.1%増となった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準には及ばず、再選を狙う共和党のトランプ大統領にとって追い風となるかは不透明だ。世論調査では民主党のバイデン元副大統領がリードする。勝者がいずれでも、焦点となるのは新型コロナ禍が続くなかでの追加経済対策になる。米国経済の動向に精通する大和総研の橋本政彦・シニアエコノミストに、大統領選はどちらが勝つか、上院選は両党どちらが多数派を占めるかで4つのケースにわけて経済政策のシナリオを聞いた(下院は民主党が多数派を維持する前提とした)。

トランプ氏勝利、上院(多数派は)共和党、下院(多数派は)民主党―――好調な消費など現状維持

 現状維持。橋本氏は「米国経済は想定より速いペースで持ち直している」と分析する。とりわけ経済回復をけん引する個人消費のうち「財消費」はコロナ禍以前の水準に戻った。「自動車市場は好調。住宅販売もコロナ前を大きく上回る水準で推移し、過熱気味の兆しさえ見え始めている」と橋本氏。いち早く打ち出した家計の現金給付、失業給付の拡充政策で、家計の可処分所得が大きく増加したことが背景にある。

 企業景況感も4月を底に持ち直し、高い水準で推移している。米連邦準備理事会(FRB)は3月に再び事実上のゼロ金利政策へ戻り、国債購入や社債の直接購入など信用緩和にも踏み切った。橋本氏は「対コロナ政策の柱である(1)個人所得の補填(2)企業の資金繰り支援(3)感染拡大の防止――のうち(1)と(2)は効果的だった」とみる。ただ、個人消費全体の6割を占めるサービス消費は回復の足取りが鈍い。対面・移動を伴うサービスが重荷となる。雇用回復も道半ばだ。全体的にはコロナ以前には戻れていない。

 逆転勝利で政権を継続しても、トランプ大統領が手を打てる新たな経済政策は限られるようだ。中国から撤退した企業への優遇措置、設備投資の即時償却の恒久化、キャピタルゲイン税率の引き下げなどを掲げるが、下院の民主党優位が続く限り財政出動を伴う政策は実現困難だ。橋本氏は「トランプ大統領の減税第2弾はほぼ不可能で、インフラ投資もハードルが高い」と結論する。

トランプ氏勝利、上院民主党、下院民主党―――追加政策は通商や規制緩和

 トランプ大統領の手足は、さらに縛られる。議会権限と大統領拒否権とのせめぎ合いが主戦場になる。大型追加対策は、10月初めに下院を通過した2.4兆ドル規模の民主党案が議論される。ただトランプ大統領よりも議会共和党が強硬に反対している。橋本氏は「トランプ大統領の追加政策は、通商や規制緩和など大統領権限で行える範囲になる」と話す。貿易赤字に焦点を当てた対中追加関税や金融・労働・エネルギーに関する規制緩和を中心に据えることになりそうだ。

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