日経SDGsフォーラム

投資は社会の役に立つ 積み立てとの融合、高まる注目度

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 人生100年時代、お金の不安がない老後をいかに迎えるか、課題になっている。そのための資産づくりは、どうせなら満足感や達成感のある投資によって実現したい。国連の定めるSDGs(持続可能な開発目標)に基づく資産運用なら、自分の投資が社会の役に立っていると実感できるし、運用成果も見るべきものがある。

助け合う日本人 SDGsに合致

 証券会社傘下の資産運用会社の多くが「○○証券投資信託委託」と呼ばれていた昭和から平成初期にかけて、その存在感は薄かった。そこには顧客の人生を展望した長期の資産形成という視点は定着しておらず、経営の独立性も乏しかった。こうした業界の空気が変わり始めたのは、グループの投資顧問会社と合併し、社名が「○○アセットマネジメント」と変わった平成半ば以降からだろう。

 投信の販売手数料よりも、残高を増やし管理手数料を重視する。投資家の資産づくりに貢献し、企業に良質の成長資金を供給する。業界最大手の野村アセットマネジメントは、そんな時代の変化の先頭に立ってきた。中川順子社長は言い切る。「投資を通じて世の中を良くすることが、私たちの最大の役割。SDGsへの取り組みは、経営のど真ん中のテーマだ」。

 投資家の立場から見ても、資産形成とSDGsは両立できる。公共性を重んじ、お互い助け合う日本人の気質に、SDGs投資は合っている。

 新型コロナウイルス感染症の拡大で窮地に陥った外食店やスポーツチームを救済するクラウドファンディングに、多くの個人が寄付をしている。社会を良くするため、自分にできることをする。こうしたマインドが、SDGsを重視した投資を違和感なく受け入れる。

 加えて、古来日本人は、無尽など積み立て方式による資産づくりになじみがあった。少額投資非課税制度(NISA)や個人型確定拠出年金(iDeCo)など積立型の投資には抵抗が少ない。SDGsと積み立てを融合した投資商品は、1800兆円ともいわれる個人金融資産の受け皿の1つとして、ますます注目されるだろう。

 かつて投資という言葉の持つ印象は必ずしも良くなかったかもしれない。日本社会のSDGs推進と歩調を合わせ、資産を作る、世の中の役に立つ、社会を良くするという明るいイメージに変わっていけば、資産運用会社の果たす役割も大きく変わるはずだ。

(編集委員 鈴木亮)

持続成長に期待 年金運用先にも――
 投資とSDGsは、今や切っても切れない関係にあります。欧米の年金基金など海外の投資家は、特にSDGsにつながるESG投資を重視しています。消費者がSDGsに熱心な企業の商品を選別して買うようになり、SDGsへの取り組みが、企業業績や株価に直結する時代になりました。SDGs抜きの経営はもはや考えられません。
 野村アセットマネジメントは、欧米など海外の年金の資金も預かっています。海外に運用拠点を持ち、直接アプローチできる強みに加え、ESG投資を通じたSDGs達成に熱心な会社であることが評価されていると自負しています。英国政府、オランダ政府やビル&メリンダ・ゲイツ財団などが運営する「医薬品アクセス財団」の署名機関に名を連ねたことも、SDGs経営の一環です。低所得国の人たちの医療へのアクセス改善を目標とする同財団への署名は、コロナが世界的に拡大する中、タイムリーな取り組みだったと思います。
 日本国内でも、運用先を選ぶ基準の1つとして、SDGs達成への貢献を重視する流れが強まっています。日本の年金基金から「野村日本働きやすい企業戦略」が選ばれたのは、こうした変化を象徴する動きです。確定拠出年金(DC)の運用選択肢に「世の中を良くする企業ファンド(野村日本株ESG投資)」が相次いで採用されているのも、同じ流れでしょう。長期運用を前提とする年金資金が、長い持続的な成長を目標とするSDGsに注目するのは理にかなっており、この傾向はますます強まると思います。

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