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物流・コンサル・融資も危ない? 情報管理の意外な盲点 国分俊史・多摩大大学院教授(ルール形成戦略研究所所長)に聞く(6)

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 米中対立がさらに激化している。米国務省は研究機関に外国資金の開示を要求し、中国は国家の安全に関わる技術や物資の輸出を制限する輸出規制法を12月に施行する。日本の菅義偉首相は、ベトナム訪問中にサプライチェーン(供給網)を東南アジア各国に分散させる方針を示した。企業経営に経済安全保障の観点を取り込む重要性がひときわ高まっており、特に技術情報の漏洩を防ぐ態勢作りが求められる。中小・スタートアップ企業も例外ではない。国分俊史・多摩大大学院教授(同大ルール形成戦略研究所所長)に聞いた。

中小、融資通した「技術乗っ取り」に注意を

 ――大手化学企業の元社員が自社技術の機密情報を中国企業に漏らしたとして、不正競争防止法違反(営業秘密の領得、開示)容疑で書類送検されたケースが最近ありました。産業スパイの存在を身近に感じさせ、企業のリスク管理が改めて問われています。中小・スタートアップ企業も、情報漏洩リスクの回避が必要です。

 「ターゲット企業の社員に個別に接触してくる古典的なやり方よりも、今後は資金力を利用した融資戦略で経営に侵食し、固有の技術を奪取する方法が懸念されています。中小企業の経営は、基本的には融資で成り立っています。未公開株を主要な資金調達手段としている企業はあまり多くありません。最大債権者が最も経営に影響力を発揮できる構造です」

 「債権の借り換えを通じて最大債権者の地位獲得を狙ったり、メインの金融機関の担当者などターゲット企業と親しい人材をヘッドハンティングしたり、新たな発注者となって資金依存を作り出すなどのアプローチが考えられます。地域金融機関の債権が、バルクセールにかけられて融資額の数%でファンドなどに売却されるケースも少なくないのです」

 ――企業経営者としての心得はどうあるべきですか。

 「現在は軍事・民生の双方に使用されるデュアルユースの可能性があるという観点から、自社の強みとする技術を見つめ直すことが必要です。金融機関すらも経済スパイチャネルになりかねないという警戒心を持つことが必要です」

 「企業は懇意にしている金融機関であっても、機微に触れる情報は不必要に開示しないことが重要です。融資する側にも、経済安全保障の観点も含めた支援形態が求められます。公的な金融機関であれば、軍事転用につながりかねない技術を保有する中小企業に対しては、融資だけに限らず、各国の政策情報の提供やそれを踏まえた技術情報管理体制の構築を支援するなど、複合的な支援を行うべきです」

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