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物流・コンサル・融資も危ない? 情報管理の意外な盲点 国分俊史・多摩大大学院教授(ルール形成戦略研究所所長)に聞く(6)

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米、ハイテク製品輸送に認証倉庫

 ――産業スパイ対策に関しては、物流関係が死角になっているとも指摘していますね。

 「日本の物流会社には、さまざまな機密情報が経由しているにも関わらず、トレーサビリティー(生産・流通履歴の追跡)やセキュリティー対策投資が不十分な施設が多いことは否めません。再委託などのケースも多く、現場の作業はアルバイトなどに頼っています。一方で3Dプリンターの普及で倉庫と工場の一体化が加速し『IoT』産業のけん引役となっていく可能性も高いのです。この点に注意している中小経営者は少ないようです」

 「米国では、ハイテク製品や医療品・医療機器の輸送に関して、『TAPA認証』を取得した倉庫を経由する動きが強まっています。TAPAは1997年にハイテク企業やその輸送業者らが設立した非営利団体です。物流プロセスにおける抜き取りや不正なアクセスを防止する設備、それらの管理プロセスを体系化して認証を行っています」

 ――コンサルティング業界にも新たな取り組みが必要と提言しています。

 「今日では日本企業のほとんどが何らかの形でコンサルティング企業を利用しています。急速に進むデジタル化に対応して、人工知能(AI)を活用した分析などを委託するケースも増えています。クライアント企業の情報だけ でなく、その顧客の個人データや購買履歴も含まれつつあります」

 「データの独占についてはGAFAばかり注目されていますが、密かにデータが蓄積しており、流出や産業スパイによる持ち出しが起こった場合のインパクトが大きい産業として日本のコンサルティング業界にも注意を向ける必要があります」

 「コンサルティング業界は人の流動性が高く、近年はアジア地域での一体化が資本や人事権にまで及んでいるファームも出てきています。コンサルティング会社からクライアント情報を社員が持ち出した場合、不正競争防止法による摘発は困難な構造です。まず、驚いたことに多くの日本企業が不正競争防止法が成立する形式で営業秘密の管理と運用を行っていないようです。加えて、コンサルティング会社から持ち出された情報が、クライアント側で営業秘密として管理がされていた情報なのか、それともコンサルティング会社の問題解決手法などのナレッジなのかが判明するまでに時間を要します」

 「今後、経営者はコンサルティング会社に提供する情報を営業秘密として予め管理を徹底したうえで、コンサルティング会社に対してはガバナンス体制と営業秘密の管理体制を確認して契約を結ぶことが必要でしょう」

(聞き手は松本治人)

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