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ESGの本質はリスク管理――投資マネー呼び込む3つのポイント

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 投資マネーが脱炭素への取り組みで企業を選別する動きを強めるなどESG(環境・社会・企業統治)重視の動きが広まっている。世界全体のESG投資額は2018年時点で約30兆ドル(約3400兆円)。新型コロナウイルス感染流行の影響で、サステナブル(持続可能)な社会実現を目指すESG投資への関心は高まる一方だ。大手から中堅、スタートアップ企業まで、日本の経営トップが抑えておくべきポイントを、東京大学特任教授などを歴任し、ESG投資研究で知られる湯山智教氏(現在は金融庁マクロ分析室長)に聞いた。

本業通じた取り組み重要

 ――東京電力ホールディングスが電力販売量に対する二酸化炭素(CO2)排出量を30年度までに13年度比で半減する目標を設定するなど、ESGやSDGs(持続可能な開発目標)を経営に取り込む企業が相次いでいます。

 「ESGに関しては、(1)本質は企業のリスク管理(2)本業を通じての取り組みが重要(3)コロナ禍にあっては特に社会的問題の解決をデジタルトランスフォーメーション(DX)で――といった視点が欠かせないでしょう。自然環境の激変や社会問題の深刻化は、企業の経済活動を左右しかねません。社員の雇用維持も企業存続に関わってきます。株主や顧客、地域社会などステークホルダーとの関係向上、周囲との関係改善による情報の非対称性の解消、反社会的活動を招きかねない事態の排除を通じて、企業活動のリスク軽減やサステナビリティー(持続可能性)向上を促し、結果的に企業価値向上や資金調達コストの低減につなげるのが特徴です。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のように個別株の超過リターンだけではなくマーケット全体のリターン向上を目指すケースも多くなっています」

 ――これまで唱えられてきたCSR(企業の社会的責任)との違いはどこにありますか。

 「ESGの第2の本質は本業を通じたCSV(共通価値の創造)実現であることです。従来のCSRはどうしても本業以外の取り組みとして意識されがちであったことは否定できません。SRI(社会的責任投資)もパフォーマンスが芳しくなかったために投資家にあまり支持されませんでした。どのような業種でも17のSDGsの目標に貢献することは可能でしょう。そうした本業として取り組む企業への資金供給がESG投資です」

 「日本企業はESGと親和性が高いとみることも可能でしょう。歴史的に近江商人の『三方良し』の精神、二宮尊徳の『経済無き道徳はざれ言であり道徳無き経済は犯罪』とした信念、渋沢栄一の著書『論語と算盤』などがあります。さらにガバナンスが重視されている点もESGの特徴です。企業統治の優劣は収益や株価急落リスクにも直結します」

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