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コロナ禍で戦う 世界の日本人起業家 カギはピボット戦略 都留文科大学教授 佐脇英志

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■ドイツ リモートで世界から高度人材集めDX支援――矢野圭一郎氏

 ドイツではコロナ禍に対し州ごとに異なる対応がとられていたが、3月22日から全州でロックダウンの措置が決定、その後5月初旬から制限が緩和されていった。首都ベルリン在住の矢野圭一郎氏は、2017年から欧州と日本間の企業とスタートアップを結ぶビジネスマッチングプラットフォームとして、Interacthub GmbHを経営していたが、コロナ禍を機に、元ベルリン在住で現在は東京在住の起業家、下野健佑氏とSWAT Labを共同創業した。世界トップレベルのスキルを持つ開発者をリモートチーム化して、AI(人工知能)の活用により企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)課題を解決するプラットフォームである。世界に散らばる高度人材を自動でチーム化し企業のプロジェクトに導入できる次世代のマルチナショナルソーシングプラットフォームを目指している。

 ドイツをはじめ欧米の企業がAIやブロックチェーン領域の優秀なアジャイル開発者をウクライナ等の東欧や世界からリモートで集めていたのを見てきて、これを応用した。1000人にのぼるウクライナ・ベラルーシ開発人材を、既に集めている。日本のVC(ベンチャーキャピタル)よりシード資金を調達したが、ピッチ(短いプレゼン)やその後の打ち合わせ等全ての活動は、ドイツからのZoom等のリモートで行っており、対面はゼロだったという。欧州の他の起業家を見ていても、コロナ渦によってオンラインで完結できる価値を提供するビジネスとオンサイトで価値を提供するビジネスは全く影響が異なると矢野氏は言う。欧州に限らず、コロナ禍はオンラインのビジネスにとってはチャンスであり、オフラインのビジネスはそのあり方の変更を問われるという。

 試行錯誤の末やっとの思いで事業を立ち上げ軌道に乗せた日本人起業家の多くが、海外のコロナ禍の厳しい経営環境下、断腸の思いでビジネスを中断し日本に帰っている。その中で、歯を食いしばってピボットを繰り返している日本人起業家達がいる。ビジネスには,必ず突破口がある。成功の分岐点はそれを見出しチャレンジするか否かである。コロナ禍の日本で,途方に暮れているビジネスマンがいたら,不屈の海外日本人起業家達をみてロールモデルにしてほしい。

 「事業の定義は陳腐化する」(ピーター・ドラッカー)。コロナ禍において、機能しなくなった事業にしがみつくことはリスクであり、ピボット戦略は必須なのである。

佐脇英志(さわき・ひでし) 都留文科大学教授
住友銀行(現 三井住友銀行)で銀行業務を経験後、25年以上海外ビジネスを経験。ベンチャー設立、電機メーカーの営業・調達責任者、現地代表、印刷会社のCEO、クレーン工場の現地責任者等、計5回18年間の海外駐在を通しアジアの経営と経営再建に携わる。英国 MBA、オーストラリア経営学博士を取得。亜細亜大学教授を経て現職。文科省科研費と異文化経営学会の支援を得て、アジアで活躍する日本人起業経営者を研究している。

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