アフターコロナの働き方

仕事を「自分ごと」化  テレワーク時代の人材戦略は中小優位 同志社大学政策学部教授 太田 肇

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

独立後に連携するという選択肢も

 一方、一人でまとまった仕事をこなす「自営型」は大企業より中小企業のほうが取り入れやすい。もともと自営業者は一種の多能工であり、一人であらゆる工程をこなしたり、いろいろな仕事を処理したりする。中小企業の経営者もまた、社員にそのような働き方を期待しているのである。そのうえ自営型は業務量や業務内容の変化にも対応しやすい。

 自営業的な感覚でまとまった仕事を受け持つと所有感、すなわち「自分の仕事だ」という意識が生まれる。それが仕事に対するモチベーションや責任感をもたらす。実際に仕事を一人に任せるようにしたら、社員が見違えるほど成長したという声がよく聞かれる。

 そして、このような働き方の先には独立という選択肢も見えてくる。アメリカでは製品やビジネスの「芽」を見つけた社員が、それを持って飛び出し、シリコンバレーなどでつぎつぎと起業した。それが1990年代にアメリカ経済のV字回復をもたらしたといわれる。

 もちろん会社としては、せっかく育てた人材を手放したくはないだろう。しかし独立という夢があるから大きなモチベーションが生まれたということを忘れてはならない。したがって彼らには在職中に貢献してもらうとともに、できれば独立後もアライアンスを組むなどして共存共栄を図りたい。アメリカや中国など海外では、独立した元社員とのネットワークでビジネスを拡大するというモデルが定着しているし、日本でも外食産業や小売業では「のれん分け」で実質的な規模を拡大している例は少なくない。

太田肇(おおた・はじめ)
同志社大学政策学部・同大学院総合政策科学研究科教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。経済学博士。専門は組織論、とくに「個人を生かす組織」について研究。元日本労務学会副会長。組織学会賞、経営科学文献賞、中小企業研究奨励賞本賞などを受賞。『「承認欲求」の呪縛』(新潮新書)、『「ネコ型」人間の時代』(平凡社新書)、『公務員革命』(ちくま新書)、『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)、『個人尊重の組織論』(中公新書)、近著に『「超」働き方改革』(ちくま新書)など著書多数。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。