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ふるさと納税、課題解決型に関心 職人育成や新薬開発

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■CF型など手法多様、地元中小の成長契機に――――星貴子・日本総研調査部副主任研究員に聞く

 ――現在のふるさと制度の傾向をどう捉えていますか。

 「医療、検査態勢、困窮学生の支援などに寄付が集まるケースが増えています。最近の地震や豪雨などによる被害の大規模化、影響の長期化に伴って、返礼品がなくても寄付する傾向が強まっていましたが、コロナ禍でさらに加速しました」

 ――納税手法にも変化が出ています。

 「ふるさと納税にクラウドファンティング(CF)を組み合わせたCF型ふるさと納税が増えつつあります。従来型は資金の使途を必ずしも明示せず、年度単位で包括的に寄付を募集します。CF型は具体的なプロジェクトを立ち上げて内容と目標金額、受け入れ期間などを明示し、受け付け終了後にすぐ資金を投入します。目標に達しない場合は返金しないタイプが多いです。単独ではなく複数の自治体によるプロジェクトもあります」

 ――増えている背景は何でしょうか.

 「寄付する側からは具体的な用途が詳細な点まで把握できることが魅力的です。困窮学生の支援といったテーマでも、具体的な支援策が曖昧だと寄付が集まらないケースもあります」

 「一方、自治体にとっては、機動的に資金を確保できる点です。その結果、経営破綻の危機に瀕しながらも地域経済を支える中小企業に迅速かつ継続的に必要な支援を提供することが可能になります」

 ――最近ではどのようなケースはどのようなものがありますか。

 「北海道の医療従事者への支援や医療用資材・機材の整備を目的としたCF型ふるさと納税は、受け付け終了を待たずに目標額の3倍以上の資金が集まりました。佐賀県も県内NPO法人と連携して取り組む医療支援の資金として活用しています」

 ――ふるさと納税制度に関して企業側が注意すべきポイントは何でしょうか。

 「ふるさと納税を通して支援を受けた企業は、経営の立て直しなどの目的を達成して終わりではなく、寄付してくれた納税者とのつながりを維持することも重要です。彼らが新たな顧客となったり、そこから事業拡大につながる新たなネットワークが生まれたりする可能性があるからです」

 「返礼品として自社製品が採用されるケースでは、ふるさと納税制度に依存しない収益態勢作りが欠かせません。以前ふるさと納税に頼り過ぎたため、一時の特需が過ぎた後に経営が行き詰まったケースもあります。返礼品としての採用されたことを自社の認知度の向上、新たな顧客層の拡大、販路開拓に結びつけるべきでしょう」

(聞き手は松本治人)

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