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ハイブリッド車・介護…日本、非ハイテクで国際ルール主導を 国分俊史・多摩大大学院教授(ルール形成戦略研究所所長)に聞く(5)

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 ポンペオ米国務長官が来日し、「自由で開かれたインド太平洋」へ向け連携する日米印豪の4カ国外相会談が6日、都内で開かれた。中国に対する国際的なけん制網構築が進む一方、中国抜きでは解決できない世界的なテーマもある。そのひとつが環境問題だ。中国は世界最大の二酸化炭素(CO2)排出国で、中国自身が動かなければ、解決へは一歩も先に進めない。国分俊史・多摩大大学院教授(同大ルール形成戦略研究所所長)は「環境問題で中国を導き、非ハイテク分野で日本が国際ルールを決めていくチャンスが訪れている」と分析する。

CO2排出量、トータルで優れるハイブリッド車

 ――米商務省が実質的に禁止した中国華為技術(ファーウェイ)向けの半導体製品の供給を巡り、ソニーとキオクシアが取引再開を申請しました。ただ、5Gスマホや基地局などの通信技術は規制が厳格適用されるとの見方が強いです。

 「米国の安全保障政策の核心部分は、中国の技術革新につながる先端情報の漏洩を防ぐことと、認められた人しか機密性情報を閲覧できないセキュリティ・クリアランス(SC、適格性評価)の仕組みで個人データ流出を抑えることです。最先端のハイテク分野では米政府は内容も範囲も曖昧なルールを形成し続け、いつでも独自の判断で制裁を発動できるように 運用していくことになります。日本企業はグレーゾーンの中で判断を求められるでしょう」

 「他方、米国政府から安全保障領域とは見られていないのが非ハイテク分野です。問題はハイテクの定義が曖昧ゆえに、非ハイテクの定義も曖昧になってしまっていることです。日本はこの非ハイテクとは何か?を能動的に提案してルール形成を行うことで、経営リスクを低減しつつ市場を創造することが可能になるとみます」

 「とりわけ環境問題は、日本企業には優れた技術がありながらも、必ずしも市場化に成功できていない分野でもあります。中国を市場として捉えるだけでなく、中国と連携した国際ルール形成を構想して非ハイテク世界市場を創造する志を持つことが必要です」

 ――「脱炭素」は国際社会共通のテーマです。電気自動車(EV)の普及がひとつのカギですが、世界的な自動車メーカーが軒並み新技術開発を競い合い、必ずしも日本優位とはいえません。中国も国家レベルでEV普及を進めています。

 「EV化は一見、環境問題解決に有益に見えます。しかし単純ではありません。EVにチャージする充電器への電力が石炭火力ではなく、再生可能エネルギーや液化天然ガス(LNG)にすべて切り替わらない限り、エネルギー生成から走行までに排出されるトータルのCO2排出量は、EVよりハイブリッド車の方が低くなります」

 「2040年時点における各国のエネルギーミックスの進捗状況を勘案しても、中国とインドでは超低燃費ガソリンエンジンのハイブリッド車の方がトータルでのCO2排出面で優位になります。CO2以外の水使用量、硫黄酸化物(SOX)、微小粒子状物質「PM2.5」なども評価項目に加えると、中国とインドはもちろん、米国でもハイブリッド車の方がトータルで環境性能は優位になります」

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