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1000年企業「村上水軍」 コロナ時代の中小経営の羅針盤 園尾隆司・事業再生研究機構理事に聞く

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 新型コロナウイルスの感染収束が見えない中、新常態(ニューノーマル)での経営改革を中小企業は迫られている。日本経済は4~5月の記録的な落ち込みから脱しつつあるものの、景気回復への足取りは重いままだ。限られた経営資源をどう生かせば生き残りの海図を描けるのか、答えは歴史の中にあるのかも知れない。一例が瀬戸内海の村上水軍のケースだ。形を変えながらも、今日まで1000年の命脈を保っている「中小企業」だ。園尾隆司・事業再生研究機構理事は「ウィズコロナ時代には村上水軍の『連携とけん制』の手法が効果的だ」と説く。

アウトローではなく、1070年からの海運業者

 ――村上水軍は「海賊」というイメージが強いのですが、正確な史実ではアウトロー的な存在ではなく、平安時代から続く武装した海運業者の一族ですね。

 「村上水軍が成立したのは1070年ごろです。古代の海運業者は積み荷の4割程度の賃料を受け取る高収益企業でもありました。愛媛県の島しょ部では、現在も子孫らが船主となって海運会社を経営しています」

 「2014年に国際海運企業の民事再生事件の代理人を務めたとき、村上水軍を共通の祖先とする現地の17社が共同で出資してくれました。数年後に配当が出せそうになったときは『海運会社の業績はリスクも大きい』とあえて内部留保に回すように求められました。古くから海難事故などに対応してきたため、リスク管理に優れた経営手法が受け継がれ、優れた歴代の当主(経営者)も少なくありません」

 ――どういう手法でしょうか。

 「(1)連携とけん制を重視、(2)浮き沈みに備える――の2点です。一族を3水軍に分かって、各自が自由に活動するのを承認してきた歴史があり、能島、因島、来島3家があります。現在は愛媛県今治市の伯方島を根拠とする嫡流能島家の子孫だけでも20社を超える海運関係の一族会社が展開しています。各会社を100%子会社化して支配することはせず、それぞれの自主性に任せているため平時は競争・けん制関係にあります。大企業の救済といった事案では連携するのです」

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