日経SDGsフォーラム シンポジウム

持続可能性への挑戦 コロナ下でも手緩めず(下)

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 日本経済新聞社と日経BPは9月1日、国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成へ企業の動きを支援する「日経SDGsフォーラム」を無観客で開催、会場となった東京・大手町の日経ホールの模様をライブ中継した。登壇した企業関係者や識者は口々に、ウィズコロナの時代も手を緩めず取り組みを加速すべきだと訴えた。

■企業講演
セールスフォース・ドットコム 執行役員
サステナビリティ&コーポレートリレーション 遠藤 理恵 氏

炭素会計 日本に提供へ

 当社は創業当初から、ビジネスは社会変革のための最良のプラットフォームであるというビジョンを持ち続け、信頼、カスタマーサクセス、イノベーション、平等を基本原則としている。SDGsの取り組みでは、ジェンダー平等の分野で同一労働同一賃金実現のために地球規模で投資し、ビジネスと社会貢献を統合した「1―1―1モデル」を作り就業時間、株式、製品の各1%を社会に提供。このモデルは1万超の企業が採用している。

 コロナ危機と気候変動の危機には科学の知見に耳を傾けた行動が重要だという類似性がある。事業の再生には、脱炭素型の社会経済システムに適応する中長期的視点が大事になる。脱炭素の取り組みは、サプライチェーン全体での排出量削減、グリーン・リカバリー、カーボン・ネガティブ、2050年までに二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロの4つが世界の潮流だ。当社は世界の拠点の温暖化ガス排出量の実質ゼロを達成してクラウドのテクノロジーを活用し、社会・環境への有益な効果を生むスタートアップに投資するインパクト・ファンドも設置した。現在は米国中心だが日本でも実現していきたい。

 先日、米国で発表した「セールスフォース・サステナビリティ・クラウド」は企業・団体が気候変動対策を推進するための炭素会計のソリューションになる。日本の地球温暖化対策推進法に対応するための検証を進め、日本での提供を目指している。これからもデジタル革命の先駆者としてSDGsに取り組んでいく。

■企業講演
大和証券グループ本社 執行役社長CEO 中田 誠司 氏

SDGs債 拡大目指す

 コロナ禍の中で、個人や機関投資家が社会課題をより強く意識した投資活動を取るようになった。ESG(環境・社会・企業統治)関連の上場投資信託(ETF)への資金流入額は急増、SDGs債の中でもソーシャルボンドの発行が増えている。

 以前にもまして社会課題解決への資金循環を生み出す直接金融の重要性が再認識されている。当社はコロナ感染の急拡大に伴う緊急支援を発表したI F C(国際金融公社)のソーシャルボンドの引き受けや、I D B(米州開発銀行)のサステナブル・ディベロップメント・ボンドなどコロナ禍に関連したSDGs債の引き受けを行った。

 社会に役立つ企業でなければもはや生き残れない。当社は「SDGs推進アクションプラン」を策定し、SDGsの普及啓発を通じた市場拡大、関連投資ニーズに応じる金融商品の拡充、産業基盤の育成・支援などの取り組みを示した。今年度から業績評価指標(KPI)を設定、来期以降の本格運用を目指す。

 ビジネス展開では、SDGs債のさらなる市場拡大を図っていく。世界銀行グループのIFCが引受業者向けに実施したESGサーベイで、当社は最上位グループのトップパフォーマーに選出された。債券だけでなく投資信託でもSDGsやESGに資する商品ラインナップを拡充しており、今年度はSociety5.0をテーマとするファンドを設定した。今後も資産の運用管理部門を中心に、投資家へ中長期にわたり良質なリターンを提供する運用体制の強化に臨む。

■企業講演
住友林業 代表取締役 執行役員社長 光吉 敏郎 氏

森の力最大限に生かす

 コロナ禍により世界経済の停滞が深刻化している。新しい生活の在り方を探るうえでSDGs実現への動きは加速するだろう。当社は中期経営計画2021で事業とESGへの取り組みの一体化推進を掲げ、重要課題と数値目標を設けSDGsとひもづけ推進している。

 木は植え育て、利用し、使った分をまた植えることで永続的に使える自然資源だ。当社は再生循環型で持続的な保続林業の考え方を企業経営の根幹としている。木は二酸化炭素(CO2)の吸収、固定、削減の3機能で気候変動緩和にも貢献している。

 当社は日本に加えニュージーランド、インドネシアとパプアニューギニアの3カ国で、植林による持続的な施業体制を確立させ、各国で森林認証を取得。インドネシアでは地域農家に苗木を無償配布し、成木を市場価格で買い取る社会林業を行い、製造工場の原材料を得ながら、農民の生計向上にも寄与して環境林業省の大臣賞を受賞した。

 国産材利用促進に向けた法制度の整備を受け、当社は教育施設等の非住宅建築で木造化・木質化を進めている。木造建築は原材料の調達・加工・建築時のCO2排出量が少なく、炭素を長く固定し続けることで環境負荷軽減への期待が高まっている。筑波研究所では耐火や構法をはじめ様々な研究開発に取り組む。

 全国5カ所の木質バイオマス発電所では林地未利用木材や廃木材など木質資源の有効活用を推進する。森と木の持つ力を最大限に生かし、持続可能で豊かな未来の実現に貢献したい。

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