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米中冷戦は日本発「新ルール」形成の好機 国分俊史・多摩大大学院教授(ルール形成戦略研究所所長)に聞く(4)

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 半導体メモリー大手、キオクシアホールディングス(HD、旧東芝メモリホールディングス)の上場延期など、米中冷戦が日本の企業経営に変革を迫っている。2020年代の国際ビジネスは、海外マーケットのニーズをいち早く取り込むだけではなく、米中両国が設ける制約とルールの中で展開しなければ企業は生き残れない。他方、欧米の経済安全保障政策に精通する国分俊史・多摩大大学院教授(同大ルール形成戦略研究所所長)は「2大国のせめぎ合いを逆用して、日本企業が新たな市場を開拓することは十分可能だ」と言い切る。各国が進める経済安保の潮流を読み取りながら、日本発のグローバルスタンダード構築を狙えると説く。

経済安保を軸に日本が主導権を

 ――米政府の中国企業に対する取引規制が急ピッチで進んでいます。キオクシアHDの上場延期は、大口取引先の華為技術(ファーウェイ)に対する先行き不透明感が高まっているためでした。経済安保に疎い企業が、突然海外市場から締め出されてしまうような状況が、現実のものになりつつあります。

 「日本企業は国際的な法規制への準拠で、まだまだ課題が多く残っています。米国ではデジタル証拠の改ざんを防ぐ『eディスカバリー(電子証拠開示手続き)』など、対中けん制を意識した法整備を進めています」

 ――中国側も対抗して、共産党が企業経営の監視を強化していくという予測が出ています。米中両大国のはざまにあって、日本企業は困難な状況に追いこまれています。

 「悲観的な予測ばかりではありません。経済安保を軸にした新たな国際ルール形成を、日本が主導的に担える分野も見えてきました。ルール作りを先導した国がバランスを取りながらも、自らの強みを発揮できるような規範を決められることは、これまでのグローバルスタンダードの歴史が示しています。日本が単独ですべてを決定できないにしても、ルールの方向性が早めに分かれば、日本企業はずっと対応しやすくなります」

 ――米国の対中戦略は、はっきり見えてきたのでしょうか。

 「第1にデジタルインフラの普及をテコにした『国家監視資本主義』の浸食をいかに減速させるか。第2にアジア・アフリカの発展途上国などの経済を中国一極に依存させない。第3にこの地域において中国式とは異なった民主的な制度を望む各国の国民を増やす――の3点がポイントになってきています」

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