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「地銀、10年後に半減」中小の事業承継にも利点か 野崎浩成・東洋大教授に聞く

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コロナ禍で存在感 地域中小の承継相手も見つけやすく

 「単純合併や持ち株会社化で、地銀は10年以内に半減するでしょう。再編の選択肢はいくつかあります。ひとつは『リージョナル・メガバンク』で、隣り合った地域の地銀同士で統合し、地域トップ行を目指すことです。もう一つは『トランスリージョナル・バンク』で、地域を越えてシステムや管理業務を一元化する、緩やかな連合体です。北陸銀行と北海道銀行を抱える金融持ち株会社『ほくほくフィナンシャルグループ』のようなイメージです」

 ――今後、どの地域でどんな地銀再編が進みそうですか。

 「最近、青森銀とみちのく銀の経営統合の観測が浮上しましたが、北日本では、秋田銀行や岩手銀行も含めた『北東北大連合』が将来的に誕生してもおかしくありません。青森銀とみちのく銀は2019年に包括的業務提携を結びました。また青森銀は秋田銀・岩手銀とも合同商談会を開催するなど親密な関係です」

 「茨城の常陽銀行、栃木の足利銀行、群馬銀行の3行は関係が良好です。現在、常陽銀と足利銀は経営統合によって、持ち株会社『めぶきフィナンシャルグループ』の傘下となっています。これに群馬銀が合流し、『北関東大連合』が誕生することが十分に考えられます」

 ――新型コロナウイルス禍によって、地銀の果たす役割が改めて問われました。

 「コロナ禍によるプラスの側面は、地域経済を支える地銀の存在感を再認識できたことです。飲食・観光などの業種で、緊急性の高い資金不足を解消するセーフティーネットとして機能しました。ただ、政府によるコロナ特別措置がなくなった時には、『生命維持装置』が失われるため、融資先の企業の業績悪化が顕在化します」

 「地銀は貸し倒れに備えた引当金を大幅に計上しなければならなくなります。本業の収益が低下するなかで、与信費用が銀行収益でまかなえなくなる水準になると、予想よりも早く金融機関としての持続可能性が問われることになるでしょう」

 ――地銀再編は、地域の中小企業の事業承継支援などにどんな影響を与えますか。

 「地方では、経営者の高齢化などで事業承継が緊急の課題となっています。近隣の地銀同士が経営統合や合併をすれば、取引先の情報を突き合わせることができ、事業承継のマッチングの顧客基盤が厚くなります。その結果、事業を売り渡す中小企業を見つけやすくなります。今までは見つからなかった理想的な譲渡先を見つけることもできるでしょう」

 「持ち株会社や合併を通じて再編された地銀は、事業承継のための外部の事業者や投資家の相手方を見つけやすくなります。また、再編により経営基盤が強化された地銀は、事業承継ファンドの設立を通じ、創業者やオーナーから一時的に株式を譲り受けて譲渡先企業が決まるまでは株式を保有する体力も増進されます。ファンドを支える資本基盤の強化を通じ、地銀は万一の損失を吸収することが容易となるでしょう」

(聞き手は青木茂晴)

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