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「地銀、10年後に半減」中小の事業承継にも利点か 野崎浩成・東洋大教授に聞く

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 地方銀行の再編機運が再び高まっている。菅義偉首相は「地銀の数が多すぎる」と発言したほか、麻生太郎金融相が「現状のまま維持していくのは人口構造を考えると難しい」と指摘するなど呼応する発言が相次ぐ。人口減少による顧客基盤の縮小や低金利の長期化で、地銀経営は苦境に陥っている。ウィズコロナ時代に、地銀が持続可能な金融機関であるためにはどうすればよいか。再編後の地銀は、地域経済を支える中小企業との関係にも変化が訪れるのか。「10年後、地銀は半減する」と予測する、東洋大学の野崎浩成教授に話を聞いた。

経営統合にも影響、菅新首相の衝撃発言

 ――自民党総裁選で、「地銀の数が多すぎる」と発言した菅義偉氏が新首相になりました。この発言をどのように評価しますか。

 「菅首相の『地銀再編も選択肢の一つ』という発言は、世間だけでなく行政に対して、政権としての地銀再編についての意思表示ができたため、非常に大きな意味があります。地銀の統合・合併を独占禁止法の適用外とする特例法が今年5月に成立しました。同一地域内の合併がしやすくなります」

 「特例法の適用には、金融庁以外に、公正取引委員会が判断権限を持ちます。再編を進めたい金融庁が統合・合併のGOサインを出しても、公取委の判断次第では合併が進まず、非常に使い勝手の悪い法律になってしまう恐れがありました。しかし今後は、近隣の金融機関との経営統合を視野に入れる地銀経営者にとって、独禁法特例が認められる間口が広いか狭いかは、経営統合の判断にも影響します」

 ――ここ30年間、地銀の数は不変でした。なぜですか。

 「経営状況が悪化してからの生き残りを賭けた再編がメインでした。合併などの経営統合によって、大手銀は5割、第二地銀は4割、信用金庫も4割減少しました。一方で、地銀のみが64行体制を維持したままです。一部の例外を除けば、経営的なピンチには陥らなかったのです。1997年から2003年にかけての金融危機では、地銀は不良債権を抱えていたにもかかわらず、大手銀ほど厳しい金融検査を受けなかったためです」

 「しかしこれからは、生き残りを賭けた再編だけではなく、将来を考えた戦略性の強い再編が加速するでしょう。ただ、財務基盤の劣化による再編はしやすいが、収益性の向上を目指した再編には経営者の英断が必要になります」

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