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菅政権発足 潮目変わったコロナ禍、政策再検討を 岩村充・早稲田大教授に聞く

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「全員にPCR検査」は感染症対策資源のムダ遣い

 ――具体的には、どこに重点を置きますか。

 「ウイルス感染症は、ワクチンや治療薬の開発だけでなく、ウイルス自体の弱毒化によっても収束する可能性があります。それまでの時間稼ぎという意味では、人と人との接触抑制を軸にする政府の対策は正しい方向だったと思います。一方、検査を大幅に拡充して厳しく隔離すれば、ウイルスの脅威が残っても成長が戻ってくると考えるのは錯覚です。PCR検査は治療のためのもので感染者隔離のためのものではないはずです。国民あるいは希望者全員の検査などという体制を目指すのは、感染症対策資源の無駄遣いだけでなく、日本を暗い監視社会に導くきっかけにもなりかねません」

 ――菅新政権の任期は来年9月までで、早期解散の観測も出ています。しかし中長期的な経済課題への取り組みも待ったなしです。コロナ禍での大規模な財政出動の反動で、インフレへの恐れは消えません。現在の日銀の国債保有残高は約500兆円に上ります。

 「中央銀行への信認崩壊を避けるためだったら、日銀保有国債を市場金利連動型国債に変換してしまう方法があり得ます。ただ、そうしても金利再上昇時における政府の財政負担が消えてなくなるわけではありません。長期的に金融政策の有効性を確保し通貨への信認を維持するためには、財政自体を立て直すしかありません」

フラットで一貫性のある税制構築が必要に

 ――将来を考えると、新たな感染症の大流行に見舞われるかもしれません。今から抜本的な対策が必要ではないですか。

 「今の税制は、法人税や個人所得税それに海外では付加価値税と言われている消費税などが入り乱れて、複雑怪奇ともいえる状況にあります。財政への信認を維持したまま大規模災害やパンデミック(世界的な感染拡大)への機動的対応を確保するためには、もっとフラットで一貫性のある税制構築が必要です」

 「具体的には、今までの税制に対する思い込みを排し、付加価値税の考え方を拡張して、金融資本取引や雇用に関する税制も一本の税制体系に吸収することを考えるべきです。借り入れや株式発行による資金調達も従業員の雇用も企業による価値創出活動の一部なのですから、それらを仕入とみなすことにすれば、付加価値税の体系の中に吸収することは可能なはずだからです。そうして普遍性が高く機動性に優れた課税制度を構築することが急務だと思います」

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