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猛暑の原因?温暖化の「ファクトフルネス」 日本の強みで対策を 杉山大志・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹に聞く

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AI、太陽電池、二酸化炭素回収技術…イノベーション欠かせず

 ――目先の現象だけ見ていてはいけませんが、温暖化対策は全世界的な課題です。

 「その通りです。ただ新型コロナウイルスの影響で疲弊している経済状況で、最初から再生エネルギーのような高コストの技術導入を進めると、日本産業全体の費用対効果がクリアできずに途中で失敗に終わる公算が大きくなります。第1段階として、活力ある経済と汎用目的技術をコアとした科学技術のイノベーションとの好循環をつくりあげ、第2段階でその成果を刈り取る形で、温暖化対策技術のイノベーションを進める迂回戦略が適切と考えています」

 ――日本企業が貢献できる温暖化対策のイノベーションにはどのようなジャンルがありますか。

 「第1に省エネ。例えば人工知能(AI)です。日本社会はまだまだ無駄なエネルギーを費やしているケースが多いのです。すでに利用者が設定した温度を機械学習し、最適な室内温度を判断する機能を持つ空調システムや、室内の個々の人の体温を測定して適切に温風・冷風を送るような技術が実現されつつあります」

 「第2に発電。太陽電池・蓄電池などのケースです。新素材の開発などで、現在よりはるかに高性能かつ安価なものが期待できます。第3は大気中の二酸化炭素(CO2)の回収技術です。これもCO2吸収剤や分離膜などの新素材開発がカギです。いずれも実現のためには裾野の広い科学技術基盤が必要です。スーパーコンピューター、デジタル技術や素材分野などです。新たなニーズも生まれるでしょう」

安価な電力必要、火力石炭の見直しも課題に

 ――温暖化対策技術のイノベーションで必要となるものは何でしょうか。

 「景気を支え電化を進展させるために低コストの電力が要ります。政府の基本計画では、2030年度の電源構成の最適組み合わせ『エネルギーミックス』について、原発で20~22%、再生エネルギーで22~24%、残る56%を石炭や液化天然ガス(LNG)など火力発電で賄うとしています。しかしこれまでに再稼働した原発は9基にとどまり、実現は難しいかもしれません。石炭火力を活用して安価な電力を供給すれば、経済の回復、電化システムの進展を早められて、最終的に二酸化炭素の排出を抑えられます。重要な検討課題と考えています」

(聞き手は松本治人)

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