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コロナ時代のSDGs 経営陣主導でブランド構築の好機に 明治大学経営学部教授 大石芳裕

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 2015年にSDGs(持続可能な開発目標)が国連で採択されてから,2020年で目標年の3分の1が経過した。SDGsの達成率については様々な報告書が発表されているが,いくつかの点では進展が見られるものの,17の国際目標とその下に設置された169のターゲット,232の指標が十分に達成されているとは言い難い。

 そのような中,2020年に入って新型コロナウイルス(COVID-19)が世界的にまん延し,いまだ収束の兆しを見せていない。ワクチンや特効薬の開発に時間がかかるため,2~5年はこのパンデミックと闘わざるをえないとの予想もある。新型コロナによって経済活動が停滞したり人や物の移動が減少したりしたため地球温暖化の進行が抑えられたということはあるものの,貧困や不平等が拡大し,失業や廃業なども増加している。なによりも,世界的に2600万人以上が感染し,87万人以上が亡くなっている(2020年9月5日現在)。このウィズコロナ時代のSDGs経営はどのような方向に向かうのだろうか。

SDGsの主体 CEOは19%にとどまる

 世界的に見ればSDGsに対する認識や関心は高まりつつあり,とくに2019年はSDGs関連のさまざまなイベントが開催された。米国最大規模の経済団体「ビジネス・ラウンドテーブル」でさえも,2019年8月に米国企業経営の伝統である「株主第一主義」を廃止し,従業員の待遇改善や地域社会の支援,納入業者に対する倫理的態度などを提唱した。日本においてもSDGsに対する認識や関心は高まっている。地球環境戦略研究機関(IGES)が行った継続的な調査によると,「SDGsの認知度」は経営陣においても2015年の20%から2018年には59%に,2019年には77%に急激に上昇している。SDGs導入ガイドとして最も参照されるSDG Compassの進捗状況も,「ステップ1(SDGsを理解する)」から「ステップ2~5」へシフトしていることが分かる。ただ,「SDGsの推進活動主体」は2019年においてもCSR部門が60%と最大で,CEO(最高経営責任者)は19%に留まっている。

義務的方向にCSR型と理念型

 SDGs経営には2つの方向があり,それぞれに2つの型がある。第1の方向は義務的方向である。義務的方向の第1の型はCSR型と呼べるもので,本業とは少し離れてCSRとして取り組むものである。IGESの調査でも「SDGsの推進活動主体」は,2017年の77%からやや下がったものの,2019年でも60%に達する。日本企業の多くはCSR型と言えるかもしれない。義務的方向の第2の型は理念型と呼べるもので,企業の目指すべき方向そのものがSDGsの目指すべき方向と一致するものである。こちらは推進活動主体がCEO以下の経営陣でなければならず,IGESの調査では「CEO」が19%,「取締役会」が9%,経営執行会議体が16%となっている(2019年)。過去数年でいずれも比率を上げてはいるが,最大でも20%未満である。

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