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デジタル通貨秒読み 世界初は中国かカンボジアか

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世界第1号は「バコン」か、日本の技術を利用

 ――国際金融市場に各国中銀のデジタル通貨が登場するのは時間の問題ですね。

 「恐らく最も早くデジタル通貨を発行するのは中国ではなくカンボジアでしょう。新型コロナの影響で後ずれしていますが、年内にも同国のデジタル通貨『バコン』がスタートするかもしれません。19年から銀行14行と1万人以上のアクティブユーザーでテスト運用を開始し、準備はおおむね完了しています。日本のフィンテック企業であるソラミツの技術を利用しました。バコンの裏で稼働するのはソラミツが開発したブロックチェーン『ハイパーレジャーいろは』です。1秒に数千件の取引を処理できるといいます」

 「バコンもカンボジア中銀が民間銀行に発行し、各行が企業や個人に配布します。データ自体が現金と同等の価値を持ち、米ドルにも対応できます。国内流通の70%が米ドルという状況によるものです。現金を回収してバコンを発行していきます」

 「BISでは約10%の中銀が3年以内に小口決済用のCBDCを発行すると見込んでいます。これは世界の人口の約2割を占めます。さらに20%の中銀が6年以内に発行するだろうとしています。バハマ中銀の『サンド・ダラー』やスウェーデン中銀の『eクローナ』なども具体化していくでしょう」

 ――日銀は表向き「現時点で発行計画はない」との基本姿勢を変えていませんが、具体的にデジタル円の実現はいつごろになりそうでしょうか。

 「早ければ5年程度で実現できるかもしれません。中国人民銀の場合は研究のスタートから実施の発行までに約7年、カンボジア銀は約4年でこぎつけることになります。海外各国の状況もにらみながら準備を進めることになるでしょう」

 「デジタル円と各企業が発行する電子マネーが共存する社会が訪れると想定しています。デジタル通貨には得点やポイント還元はありません。あくまでも、法定通貨1円=デジタル通貨1円です。キャンペーンがあったり、各種のポイントが付く電子マネーとデジタル円は、特徴に応じて使い分けられていくのではないでしょうか」

「デジタル円」で企業のリソースを新規分野に

 ――企業はデジタル円にどう向き合うべきでしょうか。

 「デジタル通貨のメリットは現金のハンドリングコストや管理業務を削減できることです。これまで現物業務に充てていたマンパワーを新しい成長分野に振り向ける事ができるようになります。それだけではありません。デジタル通貨を利用した新たなビジネス創出の可能性もあります」

 「デジタル通貨を実現するには中銀内部だけでなく優秀な技術プロバイダーが必要です。IT企業にとっては大きなビジネスチャンスとなるでしょう。バコンを開発したソラミツのように、スタートアップ企業にも十分チャンスはあります」

 「デジタル円が流通した後も、日常の生活に不可欠なだけに幅広いさまざまなすそ野のニーズが生まれてくると思います。デジタル通貨を決済手段とした新たな決済サービスが現れるかもしれません。新マーケットへ感度の良いアンテナを張り続けることが重要でしょう」

(聞き手は松本治人)

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