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デジタル通貨秒読み 世界初は中国かカンボジアか

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 新型コロナウイルスの感染拡大で、現金のやり取りに代わる非接触の「デジタル円」研究が急ピッチで進んでいる。政府は7月に経済財政運営の指針「骨太の方針」で中央銀行デジタル通貨(CBDC)の検討加速を盛り込み、日銀も専門担当グループを新設した。企業はデジタル通貨にどう向き合うべきか。日銀出身で国際金融の決済システムなどに精通している中島真志・麗澤大経済学部教授に聞いた。

「2022年北京冬季五輪」までの実用化目指す中国

 ――日銀は7月の人事で、CBDC検討を主導する役割を担う決済機構局の担当幹部に、金融政策を立案する企画局の経験が長い人材を集めました。「デジタル円」発行を見据えた準備をするものとみられています。

 「予想より早くCBDCの時代が到来するかもしれません。ブロックチェーン技術の進展、スマホの普及、さらにフェイスブックの『リブラ』構想などを受けて、昨年から各国の中央銀行でデジタル通貨研究が加速しています。さらに新型コロナの感染拡大で、デジタル決済の必要性が再認識されています」

 「日米両国は慎重派の2大巨頭でしたが、今年に入ってすっかり様変わりした印象を受けています。国際金融の基軸通貨であるドルを有する米国は、新たな通貨を求める必要がありません。しかし連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は議会の圧力もあって6月、デジタル通貨について『真剣に研究していく案件の一つ』と積極姿勢に転じました」

 ――米中対立の先鋭化という国際情勢も反映していそうです。国際決済銀行(BIS)の調査では、通貨取引でドルが絡むのは昨年の時点で全体の88%と圧倒的です。しかし中国はデジタル人民元の発行準備で先行しており、日本も対応を急ぐべきだとの意見が出ています。

 「米国は、デジタル人民元が先行し、デジタル通貨の分野で中国が主導権を握る可能性があることを懸念しています。他方、中国は2014年から研究チームを立ち上げ、17年にはデジタル通貨研究所を設立しました。中央集権型でブロックチェーンと既存のIT技術を組み合わせ、1秒間に30万件の取引を想定しています。すでに80件以上の特許を申請済みです。深圳市や蘇州市、河北省雄安新区、成都市の4都市でパイロットテストが始まっています」

 「5月から蘇州ではデジタル人民元での交通費支給を始めました。雄安新区でもスターバックスやマクドナルド、無人スーパー、地下鉄などが参加する計画です。中国人民銀の幹部は、遅くとも22年2月の北京冬季五輪までには使えるようにすると話しています。世界の耳目を集めるオリンピックで、国際社会にお披露目しようという狙いです」

 「デジタル人民元はリテールの決済手段として導入され、スマホにウォレットをダウンロードして利用するイメージです。発行元は人民銀で、商業銀行やアリババ、テンセントなどが仲介して流通させる仕組みです。オフライン決済の機能も付与します」

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