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オンライン会議、空気を読むな 「新しい笑い」共創を 西武文理大学サービス経営学部専任講師 瀬沼文彰

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オンライン時代の「新しい笑い」模索を

 多くの人が、意図的な笑いづくりは難しいという印象を持っているのではないだろうか。職場ではなおさらと考える人も多いはずだ。計算して誰かを笑わせることは難しい。しかし、身の回りの笑わせることにたけている人は多かれ少なかれ、プロのお笑い芸人からどこか影響を受け、同時に学ぼうとしていることが多い。むろん、笑う側も自分の笑いのツボと芸人のお笑いに何の関係もないと言い切れる人は少ないと思う。メディアと日常のコミュニケーションはいつでもどこか関係し合う。

 ボケとツッコミの関係、リアクションの笑い、自分の失敗を語るすべらない話、おのおののキャラの設定と笑い、世代によっては、ダジャレや小咄(こばなし)、なぞかけ的なものなども元をたどれば芸人発信の笑いのつくり方だ。

 日常生活のなかには、様々な笑わせるための文法があり、興味がある人はそれらをうまく用いていた。芸人たちも、そうした文法を次々と私たちに与えてくれていた。だが、急に変わったオンラインのコミュニケーションでは、まだどんな文法で笑いを作ればいいのか誰にも分かっていない。エンターテイメントの自粛、蜜になりがちな劇場などで大きな被害を受けているお笑い芸人たちが、今後、ヒントをくれることに期待をしたい。私たちができることは、プロの側に、日常で使えそうなものはないかとアンテナを張っておくことでもありそうだ。

 また、各会社では、オンライン会議の笑いと言えば、Snap Cameraやボイスチェンジャーなどのデジタル技術で自分を盛る、パーティーグッズのような小道具を画面越しにリアルで見せるハイブリッドな笑いを作る人もいる。ときには、固まったふりをして皆を驚かせて小さなドッキリを仕掛けて笑わせてみたり、仮想背景を使ったちょっとした大喜利、チャットでツッコミやボケをかましてみたりするなど笑いの作り方は様々なようだ。こうしたオンライン環境下のなかで、当事者たちから生まれてくる笑いの文化は重要だ。そうした文化が広がりを見せると、笑う対象が増え、このような時代ではあるものの、社会が少しだけ明るくなるように思えてならない。目の前が少しだけ明るくなることが大切な時代だと思う。笑いやユーモアはそんなことにとても効果的である。

瀬沼文彰(せぬま・ふみあき) 西武文理大学サービス経営学部 専任講師
日本笑い学会理事、追手門学院大学 笑学研究所客員研究員。1999年から2002年まで、吉本興業にて漫才師としてタレント活動。専門分野は、コミュニケーション学、社会学。研究テーマは、笑い・ユーモア、キャラクター、若者のコミュニケーション。単著に、『キャラ論』(2007、スタジオセロ)、『笑いの教科書』(2008、春日出版)、『ユーモア力の時代』(2018、日本地域社会研究所)など。

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