楽しい職場学

オンライン会議、空気を読むな 「新しい笑い」共創を 西武文理大学サービス経営学部専任講師 瀬沼文彰

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 オンライン会議では、複数人で話をする際、必ず、1人の話を皆で聞かなければならない。そんなコミュニケーションに違和感を抱く人も少なくないはずだ。この問題は、対面型の飲み会を例にすると分かりやすい。対面型の人数が多い飲み会では、上司の話をその場にいる全員で聞くこともあれば、飲み会参加者がいくつかの島に分かれ、個々に隣の席や、近くの席の人たち数人で盛り上がることが当然だった。しかし、オンライン会議システムではそれができない。

笑うタイミング提示を

 オンライン会議では、誰かが話を始めた際に、皆で相づちを打ちながら話を聞くとそれらはノイズと化してしまう。相づちが多ければ多いほどノイズ感がひどくなる。そのため、参加者は表情でのコミュニケーションとうなずく以外は、黙って話を聞くか、ミュートにして話を聞き続けなければならない。

 話す側も相手が聞いているのか、伝わっているのかが分からず困ることは確かで、そこに気を取られる分、慣れの問題でもあるが、上手に話せなくなる。聞いている側も、内容が分かりやすければいいが、話が長かったり、どこに向かっているのか分からなかったりすることもあるため、どのように話を聴けばいいのか困惑してしまう。

 こうした中だからこそ、雑談を用いて、少しでも場の空気を明るくすることは重要だと思う。しかし、そもそも、雑談なのか、会議の導入の話なのかも分からない話や、話し終わってもオチがあったのかどうか分からずどんな反応をすればいいのか困る話が多いのも現実だ。これらをふまえ、雑談をするのなら、「できるかぎり短く」「はじめから雑談だとわかるように話す」「ここで笑ってほしいことを暗に示す」などがポイントになりそうだ。

 芸人時代に学んだこととして、人を笑わせる際には、話の内容が面白いことも重要だったが、「ここは笑うところですよ」を客席に示すこともとても重要だった。対面よりもオンラインの方が聞き手の空気感がほとんど読み込めないため、こうしたコミュニケーションの前提を伝えることがなおさら大切な時代になっているように思えてならない。

 とはいえ、話し手に責任のすべてをなすりつけるのも問題だ。前回も論じたことだが、コミュニケーションは相互的に作っていくものである。どちらかの自己責任論では片付かない。つまり、聞き手の側も、笑えても笑えなくても、皆でフォローし、その人の感じた面白さを皆で共有していくことが重要になる。このような関係性を築くことができれば、職場では、オンラインであっても常に、心理的安全性があり、笑いに限らず様々な発言やアイデアについても語りやすくなり、組織にとってはプラスになる。

ウケなくてもOK 鈍感力が大切に

 別の角度からも考えてみよう。日本人である私たちは、ウケ狙いはもちろん、会議での発言や提案、何気ない雑談でも、これまで、あまりにも、周りの空気を読み、良い反応をもらわなければならないことにウエートを置きすぎていたのではないだろうか。私たちは、多かれ少なかれ、対面のコミュニケーションでは、常に相手の反応を気にして話をしてきた。

 しかし、オンライン会議が増えたいま、画質や回線、カメラのOFFやミュートなどの機能があり、相手の反応は、とにかく分かりにくい。であれば、私たちは、相手の反応を気にせずに、もっと自由に気軽に、自分の考えや思ったことを言ってもいいはずだ。

 同調圧力、協調性の重視、上司の顔色を伺う、場の空気を悪くしないなどの日本が古くから抱える「村社会のルール」に対して、今回のオンライコミュニケーションをきっかけに、私たちはもっと鈍感になるという選択もできそうだ。

 笑いづくりにはそんな考え方も必要だ。ウケないことは失敗のように、そして、発言した人の自己責任として扱われがちだった。しかし、今後は、ウケるかどうかは気にせずに、思ったら言い放ってみてはどうだろう。何でも言ってみることのできる職場は私たちにとって心地よいはずだ。

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