ブロックチェーン・サミットのキーパーソンに聞く

ブロックチェーンが開く未来 「すべての企業、すべての人に」 データベースと掛け合わせて挑むアーリーワークスの成長戦略

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高い技術力と革新的な発想力を生かした独自開発のブロックチェーン(分散型台帳)システム「Grid Ledger System(GLS)」を展開するアーリーワークス(東京・台東)。日本経済新聞社と金融庁が24日から開くブロックチェーン技術の健全な発展と新規ビジネスへの取り組みを議論する国際会議「ブロックチェーン・グローバル・ガバナンス・カンファレンス(BG2C)」「フィンサム・ブロックチェーン&ビジネス(FIN/SUM BB)」に登壇する小林聖・最高経営責任者(CEO)と、上池佑介・最高執行責任者(COO)に、システムの特長や狙い、今後の展望を聞いた。

■ブロックチェーン×データベースの掛け合わせで新時代のビジネスニーズに対応

 ――アーリーワークスの独自開発システムであるGLSは、データベースとブロックチェーンのメリットを掛け合わせた、新しい発想のシステムです。GLSの特長はどこにあるのでしょうか。

小林 一言で言えば、セキュリティとスピードおよびスケーラビリティを両立させた新しいブロックチェーンシステムです。承認に時間がかかる完全分散型ブロックチェーンにはせず、一部に中央集権的な発想を取り入れました。DAG(Directed Acyclic Graph)と呼ばれる、取引ごとに承認が可能な最先端の高速化技術や通信インフラなどに使われるネットワーク構造の採用、独自に設計した承認者の選定アルゴリズムを複合的に組み合わせることなどにより、従来のブロックチェーンが抱えていた、スピードとセキュリティがトレードオフになってしまうという課題を克服し、なおかつ大量のトランザクションをさばけるスケーラビリティも担保できるシステムを実現させました。

上池 インターネット上で取り引きされる情報の量や種類が飛躍的に増加するなかで、あらゆる業種がサイバー攻撃のリスクにさらされるようになり、セキュリティ対応の必要性は日ごとに高まっています。例えば、従来はサイバー攻撃とは無関係と思われていた製造業の工場なども、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)などの導入により、顧客情報や独自技術などを盗まれるといった危機に日常的にさらされています。

GLSは、既存のデータベースよりも圧倒的に高い攻撃への耐性、改ざん耐性を発揮します。万が一、攻撃、侵入された場合でも、誰がいつ侵入したのかの履歴が残りますから、追跡が可能です。スピードの面でもIoTで使用する各種センサーの情報をリアルタイムに管理・分析し、対応することができるのです。

小林 基本的な仕組みとしては、ネットワークを構成するノードを役割ごとに3つに分別し、それぞれのノードをレイヤーごとに振り分けることで、トランザクションの配信・中継・承認プロセスを最適化しています。これにより、1トランザクションあたり0.2秒の処理速度を実現しました。現在、世界最速の処理速度といわれるブロックチェーンで、約3000TPS(Transactions Per Second=1秒あたりのトランザクション処理件数)ですが、当社はテスト段階ではあるものの、5ノードで1万TPSのスピードをすでに達成しました。将来的には、4000万TPSの実現を視野に入れています。これは現在、大手クレジットカード会社の処理能力である5万TPSを大きく上回るものです。

さらにGLSは、ほとんどのデータベース系のエンジニアが使用できるコンピューター言語であるSQLとの互換が可能です。SQLとの互換が可能なGLSを使用すれば、特定言語や知識を習得するための学習コストをかけずに済みますから、システム開発の選択肢や自由度も広がります。この点が、将来を見据えたとき、ブロックチェーン技術を活用したソリューションの普及に貢献するものとして、大きく期待できるポイントの一つです。

■暗号資産/仮想通貨からすべての企業のデータベース管理ニーズに対応

 ――GLSを開発した背景や経緯は。

小林 当社は「今すぐ使えるブロックチェーンをすべての企業、すべての人に」という理念を掲げ、2018年に創業しました。現状、ブロックチェーンというと、多くの人が暗号資産や仮想通貨を連想します。仮想通貨は、ブロックチェーンの技術や概念を社会に認知させるきっかけにはなりましたが、世に出るタイミングとしては、少し早すぎたかなというのが私の実感です。当時、ブロックチェーンが実用的な技術として社会に浸透するには、まだ乗り越えるべき技術的な課題がいくつか残されていました。実際、いくつかのトラブルも生じ、結果として、ブロックチェーンにネガティブなイメージを持つ人が少なくありません。

しかし、ブロックチェーンが持つ、社会をダイナミックに前進させうるポテンシャルは疑いようがなく、当社はそこに大きな可能性を感じました。最高技術責任者(CTO)の山本浩貴は、12歳からシステムエンジニアとして活躍してきた人間で、ブロックチェーンのみならず、情報技術(IT)全般に関する高い知識とノウハウ、実績があります。地に足のついた技術力があり、なおかつ、企業として、ブロックチェーンを通じて社会をよりよくしたいというビジョン、夢を語れるのが我々の強みです。

その強みを生かし、ブロックチェーンを誰もが当たり前に活用できる社会を実現するために必要なシステムソリューションの新しい形、言い換えるならば、時代の要請に対応する新たな管理システムの在り方や「答え」を社会に明示できる、実用的なシステムソリューションの基盤として必須となる新しいブロックチェーンシステムとして、GLSを開発しました。

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