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在宅勤務で「コロナ太り」 危険はメタボだけでない 健康企業代表・医師 亀田高志

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生活習慣の影響は心身の機能低下やがんとの関連も

 食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足によって、メタボの傾向から、高血圧症や糖尿病、脂質異常症となり、結果的に大小の血管の動脈硬化を起こし、それが脳卒中や心臓発作あるいは糖尿病による失明や腎障害等につながっていくことは既にご存じのことでしょう。

 近年の様々な医学研究で生活習慣病とがんの成り立ちが密接に関係することが明らかにされてきました。先ほどのドミノ倒しはがんの発生やその進行でも同じように捉えることができます。

 タバコが肺がんをはじめとするがんのリスク要因であることをご存じの方は少なくないと思いますが、同じように動脈硬化も進めてしまいます。さらに介護を要するような機能障害や寝たきりや死といった流れもドミノ倒しで説明することができます。こうした流れが新型コロナの流行による巣ごもりや新しい生活様式で加速してしまうことが懸念されます。

 さらに、高年齢化していく働く人にとって、テレワークの増加や新しい生活様式によって、心身の負荷が減少し、その機能低下を助長していく可能性があります。

 人間は重力に逆らうことで筋肉や骨、体幹を強く保つことができます。同じように電車に揺られ、出社してダイレクトに会話し、会議で議論するといった負荷によって、働く人の心身の機能が保たれます。

 高齢化していく過程を一人ひとりの目線で考えると心身が虚弱になる経過を経て、自立できず、介護を要する状態になっていく「フレイル」が、医学的にも社会的にも課題とされています。巣ごもり生活では、筋肉が減り、脂肪が増え、様々なストレスへの抵抗力が低下して、このフレイルが助長されることになります。

 また、全身の筋肉量が減少し、自立した活動が困難になった状態を「サルコペニア」と称します。高齢の場合にはこのサルコペニアも巣ごもり生活をきっかけとして起きやすくなってくると考えられます。

 巣ごもり生活や新しい生活様式で生活習慣が悪化したり、それが改善されないままでは、特に中高年世代は、動脈硬化性の病気やがんにかかる可能性が高くなるだけでなく、業務遂行の源である心身の機能を損なっていくことを理解しておかなければなりません。

かかりつけ医を持つことから

 大手企業にお勤めで、産業医や保健師の方が常駐しているような企業であれば、早速、メタボの傾向やタバコといった新型コロナの重症化のリスクにもなり得る問題について、現時点での最良の対処法を相談してみてください。ちなみに、この流れは「健康相談」という枠組みで、職場の健康管理を定めた労働安全衛生法令・指針で定められています。

 また、産業医等の専門家に簡単に相談できない環境で働く人もたくさんいます。大手企業であっても週末や終業後に相談できるわけでないとも思います。そうしたケースでは、これを機会に「かかりつけ医」を持つことをお勧めしたいと思います。

 深刻な持病がない限り、かかりつけ医を持たない働く人は多数に及びます。けれども発熱等の症状が出た場合の対処だけでなく、生活習慣病やがん、そして心身の機能低下を避けるためにも、かかりつけ医を持ちましょう。

 ほとんどの人は食品をバランスよく摂り、適度に心肺機能と筋力を鍛え、柔軟性や平衡感覚を保つことの大切さは理解されていると思います。高血圧や高血糖の所見があるのであれば、定期的に検査を受けて、フォローしていくことも同様です。

 健康面での格差について専門家が警鐘を鳴らして久しいですが、一部の人たちは巣ごもりでも生活習慣を良好に保つことができる一方で、多くの方はそれができなくなっていることを心配しています。これもある種の格差の表れです。

 内科を主にしたかかりつけ医を持つことができれば、生活習慣に関するアドバイスを受けながら、生活習慣病の特定のサインに対する経過観察を受けることができます。21世紀に入り、脳卒中や心臓発作を防ぐ治療やもしもそうなった場合の救命や障害を残さないための治療技術の進歩は特に目覚ましいものがあります。

 過去の定期健康診断で肥満や高血圧あるいは高血糖や脂質異常の所見があれば、その過去の結果を持参して、ご近所の内科を受診してみましょう。

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