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コロナ禍で挑む「孫チルドレン」 次代を開く異能の技術 ロボット・AI・SNS… 孫正義育英財団メンバーに聞く

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 新型コロナウイルスの影響で日本経済は暗雲の中にある。ただ、2008年のリーマン・ショックを機にフィンテックやシェアビジネスが勃興したように、危機の中から次のイノベーションが起こる可能性もある。国内外の未来人材の留学や研究を資金面などで支援する「孫正義育英財団」のメンバーからも革新的な技術やサービスが飛び出すかもしれない。

■「3密」避けるロボ、1日で開発

 「コロナは3密が問題ですよね。電車内や駅構内とか、学校内とか、不安な空間はたくさんあります。それで製作したのが『密ですロボット』です」。横浜市の小学6年、小助川晴大くんはまだあどけない表情でこう話す。開発したロボットは一見おもちゃのようだが、センサーで人と人が密となっている状態を感知し、「密です!」とスピーカーで流す仕組みの実用的なロボットだ。

 製作に要したのは1日程度。「この程度のロボットの製作にはそんなに時間はかかりません」という。すでに小助川くんはロボット製作ではプロの領域に突入している。6歳の頃からロボット製作やプログラミングを開始。2017年、8歳の時に国際的なロボットコンテスト「World Robot Olympiad(WRO)」の世界大会に最年少で出場した。出展したのは地球温暖化で氷山が溶解することによって引き起こされる海面上昇を食い止めるための自律型ロボットだという。「環境問題など社会の課題解決にあたりたかったから」というが、そもそも小学校低学年の発想とは思えない。父親など両親からのサポートはあるが、常に社会の困りごとを考え、WROには仲間2~3人とチームを組んでロボット開発にあたり、17、18年と2年連続で出場し、入賞もしている。

 米アップル創業者のスティーブ・ジョブズが毎朝、鏡を見て自問していたという逸話に感銘。将来は起業家になりたいという。来年は中学生だが、孫財団の支援も受けながら、シンガポールに留学したいと思っている。「親と離れるのは少し寂しいが、ダイバーシティな環境だし、治安もいいから」と話す。シンガポールは中等教育では世界トップ水準、英語や中国語など4言語が公用語。世界を舞台とした次世代イノベーターになるための知識と技術を磨く考えだ。

■英語とAI技術を独学習得、海外で研究

 「インターネットは楽しい。あらゆる教材がそろっている」と明るく話すのはカナダに留学中の中学2年の工藤志昊くんだ。千葉県の公立小学校に在籍したが、4年生から学校に通わずに在宅で学習、いわゆる「ホームスクール」をしてきたという。

 幼い頃から独自学習をやってきた。4歳から近くの公園や観光地に行っては、2000人以上の外国人の旅行者に話しかけて生きた英語を学んだ。インターネットにはまり、9歳からJavaやパイソン、C++などのプログラム言語を自ら覚え、AI(人工知能)技術を身につけた。

 2017年、小学5年の時に英検1級に合格。18年にはソフト開発者が競う米Mozilla主催の「firefox Quantum Extensions Challenge」国際コンテストで最終選抜まで進んだ。19年には Neverlanハッキング世界大会で学生ランク3位を獲得した。AI研究のため独学で微分積分も習得した。確かに画一的な教育を施す日本の公立小学校の枠の中に工藤くんの才能は収まりそうもない。

 現在の工藤くんは「ホームスクール」を卒業した。中学生になり、孫財団の支援を受け、カナダに留学したからだ。通うのはバンクーバーにある普通の中学校だという。「ここはダイバーシティを認め、自由な国だ」という。今はAI関連の様々なプロジェクトに参画、親に「そんなにがんばって疲れない?」と心配されるぐらい。「AI技術などを使い、世界に役立つサービスを創りたい」と意欲的だ。

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