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半沢85点、大和田65点、渡真利88点…「半沢直樹」の怒り管理術 戸田久実・日本アンガーマネジメント協会理事に聞く(上)

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トップに必要な3つのアンガーマネジメン

 戸田さんは、アンガーマネジメントに関して経営トップに必要な3つのポイントがあるという。第1は「怒りは高い所から低い所へ連鎖する」法則だ。上司から怒られた社員は、上へ跳ね返さずに部下に向かっていく、部下はまた後輩に…と続いていくわけだ。怒りは伝染する。矛先を固定できずに八つ当たりになるケースもしばしばだ。働きがいのある社風を作るのはトップのアンガーマネジメント次第ということになる。

 第2に「他人の怒りは管理できない」という法則も大事だ。A社とB社のトップ同士が、合併交渉に入ると華々しく記者会見する。ところが合併準備委員会で内容を詰めていくうちに、だんだん険悪なムードが生まれてくる。相手は格下とか業績が見劣りするとか、企業文化が違うなど、あまり合理的でないような理由で感情がこじれ元に戻らない。週刊誌に載った相手方のたわいない酒席の放言も、絶対に許せないと思い込む。企業戦略的にはベストな選択だった合併案も、部下の反発を抑えきれずに白紙に戻る……。1990年代以降に起こったいくつかの合併構想の頓挫の背景には、相互の信頼を醸成できなかったことが一因だとみることもできる。

 戸田さんは「トップは最初から部下の反発を抑え込むのではなく、まず相手の怒りの原因を探るべきだ」と話す。怒りが生じるのは、個々人にとって譲れないコアビリーフ(価値観、信条)が破られた時だ。そこを見極めてから話し合い、説得すれば道が開けてくるという。

 第3は欠かせないのが「聴く力と共感力」と戸田さんは強調する。怒りの裏側には不安、心配、困惑、落胆などのネガティブな感情が潜んでいるという。「不安だったね」と共感を示すことが効果的だ。戸田さんは「相手の感情に寄り添いながら、いったん話を聴いてみるトップの姿勢が、組織を守ることにつながる」と話す。90年代にアンガーマネジメントの手法が普及していれば、日本経済の「失われた20年」は別の展開を見せたかもしれない。

(松本治人)

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