日経ソーシャルビジネスコンテスト関連特集

社会課題解決 多彩な挑戦

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■受賞者から

小口融資・商品調達を支援
大賞=リンクルージョン

 ミャンマーで現地の小口融資(マイクロファイナンス)事業者に業務管理システムを提供する事業と、個人商店向けの配送サービスを運営する。

 マイクロファイナンス事業者に業務管理システムを導入、顧客情報の収集や分析の高度化を支援する。与信調査のフォーマットを標準化し、家族構成や資産、収入など顧客の正確かつ詳細な情報を蓄積させることで、顧客ニーズに合った金融サービスの開発にもつなげられる。

 交通インフラが脆弱な農山村の商店からは電話で商品の注文を受け付け、発送まで担う。従来は仕入れに往復で徒歩2時間かかるような状況だった。現在では500店舗以上が利用する。浮いた時間で新しい仕事を始める事業者も出てきたという。

 黒柳英哲社長は日本の非政府組織(NGO)からフィリピンに派遣された際、マイクロファイナンス事業者の顧客情報の管理がずさんで、活用されていない状況を目の当たりにした。「経済の仕組みを変え、不利益を被る人を救いたい」と考え、同事業が未成熟と判断したミャンマーでの起業を決意した。

 将来的には商店の販売網を活用した小口保険の販売なども考えているという。黒柳社長は「現地の人の困りごとに目を向けながら、排除される人のない世界を実現したい」と話す。

アフリカに電気・通信届ける
優秀賞=シュークルキューブジャポン

 セネガルのインフラが未整備の集落で「ツミキスマートキット」という電源装置を普及させている。重さ9キログラムで持ち運びやすく、太陽光発電のバッテリーは何度でも充電できる。医療現場で重宝され、10カ所の診療所に提供した。夜に明かりのない診察室での出産は母子共に命の危険があったが、装置に電球をつなげば安全に処置できる。これまで明かりの下で600人の赤ちゃんが生まれた。

 佐藤弘一社長はフランスでIT(情報技術)インフラの整備事業を営んでいた。セネガルの事業を請け負った際、送電網につながない電源の需要に着目。2018年に帰国、起業した。装置は通信機能も備え、教育やビジネスにも役立つ。コートジボワールでの設置も決まった。佐藤社長は「人命救助と自律的な経済発展に貢献していきたい」と話す。

不妊治療に客観的データ
優秀賞=Vivola

 不妊に悩む人や婦人科系の疾患を抱える人が、最適な治療の情報を検索できる「cocoromi(ココロミ)」を運営する。過去の疾患歴や年齢などの個人情報、検査数値を入力すると人工知能(AI)が最適な治療方法を提案する。

起業のきっかけは角田夕香里社長が3年前に患った婦人科系の疾患。将来の妊娠に影響を与える可能性もあった。病院や治療法の選択に悩む中で「客観データに基づいた選択ができれば多くの人が安心して治療に臨める」と考えた。

 ソニーの研究開発部門で新規事業の立ち上げに携わった経験などを生かし、6月にサービスを開始。今後は同じ病気に悩む人同士がチャットで交流できる機能を追加するほか、汗や血液から不調を察知できるウエアラブル端末の開発も目指す。角田社長は「長く女性の健康に寄り添える企業を目指す」と力を込める。

過疎地域 感謝伝え合う手形
学生部門賞=暮らしを取り戻し隊

 新設の学生部門賞は、広島県立油木高校(同県神石高原町)の出身者らを中心とした「暮らしを取り戻し隊」が受賞した。過疎高齢化に悩む地域の住民同士が、日常生活の感謝の気持ちを手形交換で伝え合うプロジェクトを考案した。

 福島大悟代表は同県福山市の市街地で育つが、祖父の故郷が限界集落であることから過疎高齢化に強い関心を抱いた。物々交換の風習が残る離島、大崎下島(同県呉市)で住民のコミュニティー作りを支援する一般社団法人まめな(同市)の活動に興味を抱き、共同でプロジェクトを進めた。

 手形は、まめなが病院を改装して開店するカフェで本格的に導入する予定。地域で栽培して余った野菜を持ち寄ると手形と交換でき、カフェでの支払いに使えることにする計画だ。福島代表は「将来は社会全体に相互扶助の仕組みを広げていきたい」と意気込む。

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