日経ソーシャルビジネスコンテスト関連特集

社会課題解決 多彩な挑戦

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■シンポジウム「アジア・アフリカにおけるソーシャルビジネスの現状」

山中氏 事業について教えてほしい。

更家氏 サラヤは赤痢が流行った時に消毒液を販売したのが始まりで、今は世界の衛生環境の向上に貢献している。ウガンダでは学校やマタニティセンターで消毒液を普及させている。2014年からはウガンダ国内で消毒液の製造も始め「なぜ手洗いが必要か」という衛生教育にも力を入れている。コロナの時代は、露呈された問題をビジネスで解決することが課題になっている。企業も国内に閉じこもるのではなく世界に出て行くことが大切だ。

酒匂氏 東大発の医療人工知能(AI)ベンチャーでバングラデシュなどの途上国でサービスを行っている。途上国では医療アクセスのない人が40億人ほどおり、AIやICT(情報通信技術)で彼らの医療環境を改善していきたい。具体的には3つの事業をやっている。医者のいない場所で遠隔医療を実施しつつ、都市部では富裕層向けの検診サービスをしている。医療機関向けには、自社の検査センターで検査を受託をしている。検査の受託事業では、新型コロナウイルスのPCR検査も実施している。収益化は難しいが、バングラデシュの多くの医療機関との連携を深めるチャンスだと思っている。

■酒匂氏「新たな仕組み普及」

山中氏 コロナで社会がどう変わり、どういうイノベーションが求められるか。

更家氏 オンライン会議などITの活用が進み、各企業がどのように活用するかはどこも考えている。コロナ禍で業務の評価や決済の仕組みをどのように変えていくか、スピード感を持って決断することが大切だ。

 人々の生活習慣も変わるので、変わった習慣をどうビジネスに生かすかも重要になる。遠隔のビジネスは今後も出てくるはずで、我々も遠隔健康チェックのような事業を考えている。

酒匂氏 今はデジタル化が求められているが、コロナが落ち着いた後にも維持できるかは我々次第だ。コロナで健康の大切さや家族といる生活の良さなど、多くのことに気づいた。我々自身が進化できるかという姿勢の方が大切だ。

山中氏 2人とも世界を見て事業をしている。なぜ海外に出ようと思ったのか。

更家氏 海外では色々な人に会ったり食べたりできる楽しみがある。面白がらないと海外には行けない。ウガンダでは先進国のメーカーは我々だけだったが手洗いの需要があると思った。海外で市場を作れるかは見方によって変わる。色々な視点を持てば新しいビジネスの気づきも生まれる。

 海外では何年もかけて利益を出さないといけないので、経営力が問われる。途上国で単体の事業をやっても結果が出ないので、短期的な事業と長期的な事業の組み合わせが大切だ。

■更家氏「実験的に開始可能」

酒匂氏 私たちはITに強みがあったが、多くの先進国ではできあがった医療の仕組みが既にある。新しい医療の仕組みを入れるのは、国が成熟しているほど難しい。一方で仕組みが整っていない国では一気に普及する可能性がある。

 医療をソフトウエアでコストダウンする世界を見てみたいと思ったが、日本は難しく海外に出た。高度経済成長期の国でビジネスをし、毎日希望にあふれた人を見ながら仕事をしたいという思いもあった。

更家氏 日本では規制が多く、規制を撤廃するのはものすごくエネルギーがいる。途上国は新しいビジネスを実験的にスタートしやすくて、成功したものを日本に持って帰ることもできる。

山中氏 若い世代へのメッセージを。

更家氏 我々の時には世界を見ようという元気な人が多かった。海外のビジネスに参加してほしい。

酒匂氏 コロナは新しいことをやりたい人にチャンス。色々な分野の人が挑戦できるといい。

◆パネリストの略歴◆
更家悠介氏(さらや・ゆうすけ) 1976年、サラヤに入社。98年から現職。
酒匂真理氏(さこう・まり) 東京大学大学院農学生命科学研究科修士課程修了。外資系消費財メーカーを経て、2015年にmiupを創業。

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