日経ソーシャルビジネスコンテスト関連特集

社会課題解決 多彩な挑戦

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 社会課題を解決するビジネスを表彰する「第3回日経ソーシャルビジネスコンテスト」は、大賞にリンクルージョン(本社・ヤンゴン)、優秀賞にシュークルキューブジャポン(東京・千代田)とVivola(ビボラ、同・渋谷)、学生部門賞に暮らしを取り戻し隊を選んだ。7月11日に表彰式と、コロナ禍における企業の役割などをテーマにした2つのシンポジウムが開かれた。

■シンポジウム「アフターコロナの企業の役割」

横田氏 新型コロナウイルスの影響で起きた身近な変化について、事業の紹介も含めて教えてほしい。

藤野氏 投資会社でファンドマネジャーをしている。日ごろ調査活動では年間120日ほど各地に出張していたが、コロナの時代になって引きこもり生活になった。自分が社会で求められている役割は何か、自問自答することが多かった。

上原氏 保険事業を展開している。コロナ危機下では従業員や顧客を守ることを最優先し、全国の営業活動を停止した。これまでリーマン・ショックなど財務面での危機はあったが、顧客との接触が長期にわたって全国規模で制約されたのは初めてだ。生命保険は信頼関係が重要になる。コロナの危機は顧客との関係をどのように維持していくかも含め、経営に大きなインパクトをもたらした。

横田氏 アフターコロナにおける社会課題は。

藤野氏 ステイホームを余儀なくされ、家庭内暴力などの問題がコロナで顕在化したと思っている。企業をみると、健康経営などSDGs(持続可能な開発目標)の活動が優秀な企業ほど、コロナに強かった。こうした企業は社内の情報共有がきちんとしており、速やかにオンラインで仕事をできた。コロナをきっかけに、企業や社会の課題を社会起業家が埋める余地が生まれたともいえる。

■上原氏「本業で社会貢献を」

横田氏 企業のあり方や役割、SDGsはどうあるべきか。

上原氏 グローバルで環境などの課題を解決しないと取り返しがつかなくなるという考えは、若い世代で広がっている。企業の価値基準も利益の創出から、社会をより良くする方に変わってきている。企業は本業で社会貢献すべきだ。SDGsを漠然ととらえるのではなく、具体的に本業に結びつけて考えることが大切だ。特化した強いビジネスモデルを持っている方が有利だ。

藤野氏 コロナで家にこもらざるをえなくなると、お金があってもどこにもいけない。家にいて家族とコミュニケーションができなければ、お金があっても地獄だ。家族や命、健康にいきることが大切だと、価値観が大きく変化した。SDGsは今までは流行っているから進めてきたが、これからはむしろ真剣に取り組まないと社会や従業員、顧客から評価されない時代になる。

■藤野氏「SDGsを本腰で」

横田氏 これからの時代どのような社会課題にビジネスのチャンスがあるのか。

藤野氏 最近では優秀な学生がこぞって起業している。コロナで起業をあきらめる若者が増えると心配していたが、真逆だった。米国でも、新興企業がコロナの前より株価を上げることもあり、若者も動きを見ている。私の所にも出資の要望やビジネスのアイデアを求める若者が来ている。これからの日本ではコロナをきっかけに、社会のためになることをしようという流れができるのではないか。

上原氏 コロナ危機をきっかけに人と人とのつながり、助け合いの重要性が改めて認識された。行き場を失った食材を生産者から直接購入するコミュニティーがSNS(交流サイト)上で生まれたり、休業に苦しんだ飲食店をなじみの客がクラウドファンディングで支えたりした。学校や会社以外のコミュニティーが存在を高めていくので、そこにビジネスの芽がある。

横田氏 時代の転換点の中で不安に感じている若者に対してメッセージを。

藤野氏 不確実な世の中が広がり若い人にかつてないチャンスが訪れている。経験ない若者の方が柔軟な発想をできるので、挑戦してほしい。

上原氏 終息が見えないコロナの時代だが、SDGsを身近に感じている世代なので、今の状況を変えるアイデアを出してもらいたい。

◆パネリストの略歴◆
 藤野英人氏(ふじの・ひでと) 国内・外資大手投資運用会社でファンドマネジャーを歴任し、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。一般社団法人投資信託協会の理事も務める。
 上原弘久氏(うえはら・ひろひさ) 1984年、太陽生命保険相互会社(当時)に入社。T&Dホールディングス執行役員経営企画部長などを経て2018年から現職。

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